159◇魔の森へ
159◇魔の森へ
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昼からも順調に走り続け、まだ日が高い内に魔の森116番ゲートの管理棟に到着した。
馬車が到着すると、管理棟の管理人と思しき皮鎧を来た壮年の男が出迎えてくれた。
管理棟管理官のハリーである。
管理棟職員のジェイムスも奥に居るはずだ。
「やぁ、俺たちは冒険者だ。これ冒険者登録証。魔の森に入るのを許可して欲しい。」
「マーク様、おふざけですか?しかも子供まで連れて。どちらのお子様で?」
「これは俺の従兄弟の子でマーカスという。13歳だが魔法に長けていてな。ストレージ魔法が使えるので連れて来たのだ。本人のたっての希望でもある。」
上手いこと言うな。
名前も咄嗟に付けたんだろう。
マーの後にティンと言いそうになってたけど。
「マーカスです。今日はおじさんに強くお願いして同行させてもらえることになりました。自分を守る魔法は使えますので迷惑はかけません。」
まぁ冒険者登録証には所属も書いてあるし、変装もしていないから護衛の3人はバレて当たり前だ。
俺は出発してすぐに変装してずっとこのままだ。
他の2人も冒険者登録証を提示している。
マークが銀ランクで他の2人が鉄ランクだな。
銀ランクがパーティーに居ると未登録の初心者をお試しで同行させることが出来るとのこと。
初めて知ったが、マークはそこも最初から考慮に入れていてくれたらしい。
「マーク様。承知いたしました。では今晩はこちらにお泊まりということでよろしいですね。」
「よろしく頼むよ。俺たちは冒険者なんで気楽に接してくれたら助かる。」
そんな事言っても領主直属の護衛部隊の隊長だぜ。
しかも騎士爵の次男で苗字持ちだ。
マーク・ウォーレン様らしい。
ハリーもジェイムスも平民なんで大いにもてなしてくれた。
どうやら一般の冒険者の通行確認と共に魔の森への中継地点としての業務もしているらしい。
領都などの冒険者協会に併設されている簡易宿泊所兼食堂みたいなもんだ。
だから前回8人の大人数で押しかけても泊まる場所があったんだな。
その日はジェイムスの用意した食事で満足し、早めに就寝した。
まぁ本もスマホも無いんだから食ったら寝るしかないんだけど。
次の日は夜が明ける前にマークに起こされる。
さすがに睡眠時間は十分なのでスパッと起きられる。
平民服なんで自分でパパッと着替えられるのはいいよな。
簡易革鎧も着て頭に皮の鉢金を巻く。
これはガーソンに作ってもらった物で、皮を重ねてその上にミスリル鋼の薄板を貼ってあるものだ。
戦闘時のヘルメット代わりだな。
飛行時にすっぽり被る奴は夏場は暑いんだよ。
荷馬車は管理棟に馬ごと預けてある。
まぁ日帰りなんでそんなに手間でもないだろうが。
一応荷馬車のフレーム部分と車輪には旗布を掛けて構造が分からない様にしてある。
他の冒険者が来た場合に興味を引かない様にするためだ。
念のため、フレームと車輪にかけてワイヤーを巻いて両端を施錠してある。
夜が明けて明るくなった時点で魔の森に出発する。
ハリーとジェイムスが見送ってくれていた。
魔の森に入って100mほど進んだ時にマークに聞いてみる。
「ねぇおじさん、今日はどのルートで行くの?」
「マーティン様、変装はそのままでいいですから我々への接し方は普段通りでお願いします。というか、マーティン様の能力を解放して好き放題したいということですよね?」
「うん、分かったよ。ではまず魔力探索をするんで少し離れてくれない?」
最近では神経を集中して周囲の人に少し離れてもらえば、半径300mくらいははっきりと魔獣の位置が分かる様になっていた。
空中より狭いのは半分が地面下だからだ。
地面の中は魔力が浸透しにくいのでここで無駄に魔力が消費されて探索距離が減ってしまうのだ。
「ここから半径300サブキロム以内には魔獣無し。いつもの巡回ルートを進もうか。」
そこで3人に89式と予備マガジンと弾薬を渡す。
俺自身も装備する。
巡回地図を広げ、魔道コンパスで管理棟の位置を確認しながら魔の森を進む。
1時間ほど歩いた時点で魔力探索の端に大型の魔力反応を確認した。
たぶんレッサーベアーだろうな。
俺は3人に89式を構えさせる。
俺が主体で撃つので、俺に危機が迫らない限り発砲するなと指示する。
200mほど進むと100m先に目視でレッサーベアーを発見した。
俺は立木に半身を任せ、ドットサイトを覗き込む。
レッサーベアーの首を狙ってセミオートで1発撃つ。
わずかに脊髄を外れた様で、しばらくその場でぐるぐる回っていた。
3分ほどすると動きが遅くなってきたので、タイミングをみてもう1発首筋に撃ち込む。
今度は当たった瞬間にレッサーベアーは糸が切れた様に崩れ落ちた。
「すごいですね。あの距離でたった2発であの大きさのレッサーベアーを仕留めるとは。」
さすがに5.56mmFMJ弾でも生物の剥き出しの急所である首に当てれば簡単に倒せるな。
ライフルで100mという至近距離というのも大きいと思うが。
「うん、これくらいなら護衛のみんななら練習次第で出来る様になるよ。持っている武器は同じだし。」
そう言うと微妙な顔をしていたな。
俺たちは用心しながら倒したレッサーベアーに近づき、事切れているのを確認した後に俺の「ガレージ」に収納する。
5m立方なんで内部の端の方に寄せるイメージで巨大な手で掴んで入れる感じでそっと置く。
フルマニュアル操作が必要なんで意外と使いにくい。
慣れるのに少し手間取ったが、掴んで持ち上げて中に置くイメージを完了した瞬間に、レッサーベアーの死体は目の前からフッと消えた。
護衛の3人は思わず後すざりをしてたな。




