149◇機械化計画
149◇機械化計画
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うん、機械化=産業革命だな。
まぁそんな簡単なものではないのは分かっているさ。
今のところ俺1人に全てがおっかぶさっているし。
こりゃ魔法団を焚きつけて一気に100年くらいは加速する必要があるな。
次は馬車に代わる輸送手段だな。
王都を出る時に魔法団の団長宛に自動車の必須基本構造についての書き置きみたいな手紙を出している。
今ごろ俺が王都に居ないのを知って手紙の内容で悶えているだろうな。
ラフスケッチを描いて説明を書いたもんで、中途半端な知識を得てそれがどういう働きをしているのかよく分からずに悩んでいるだろう。
一つ一つの要素はお互いに全く関連性が無い様に見える。
だが、「自動車」という大枠に嵌め込んだ時にどれもが必須のピースとなるのだ。
うん、とりあえずT型フォードを参考に、この世界独自のパワートレインとなる魔石系エンジンを上手い事合体させる。
馬車の足回りとはだいぶ違うから最初は戸惑うだろうな。
そもそもこの世界に自動車に先駆けて航空機を持ち込んだ時点でだいぶ様相が異なっている。
舗装路なんて皆無のこの世界で、先進的な足回りの王族用馬車足回りでも時速20kmがせいぜいである。
それ以上はバネ下重量が重いのでいくら馬が頑張っても強い抵抗となる。
馬の代わりにエンジンを付けてもこれならせいぜい時速30kmってとこだろな。
中空のゴムタイヤが無い事も大きな足枷となっているな。
魔法団に付けてもらったタイヤもどきは植物の魔物から獲れる素材を発酵させた物らしいし。
うーん、いっそのこと、自動車は諦めて全て航空機に全振りするか?
魔道ジェットエンジンの重量比効率がいいから垂直離着陸機が割と簡単に出来るんだよな。
内圧がさほど高くないから薄いミスリル鋼の筐体で十分耐えるし。
その代わり流速があまり速くないので時速200km程度で頭打ちになる。
だが、陸上輸送機と比べると時速200kmは十分高速だ。
前世の東海道新幹線の開通時と同じだもんな。
決めた!
異世界版オスプレイを作る!
と言ってもあのチルトローター構造は無理なので基本は3座機だ。
これに垂直上昇専用に上向に8基の魔道ジェットエンジンを追加する。
3座機用の物をそのまま使用し、1基の推力が200kgなので8基で合計1600kgになる。
1基の重量が25kgなので200kgだな。
これにフレームやフェアリングを足して250kgといったところだ。
3座機本体の重量が300kgちょいなので合計重量が600kg。
更に大人3人の合計240kgを足して飛行時総重量は840kgということになる。
うん、自重の2倍近い垂直推力があるので十分だな。
8基あるので1基2基止まってもなんとか落ちないだろうし。
参考にしたのは前世で見たホンダの空飛ぶ車。
「eVTOL」という名称で2025年に発表していた物だ。
こちらは電動のプロペラだが、上昇と浮力補助に合計8基のユニットを4基づつ2列に前後方向に並べている。
推進用には尾部に2基の大型ダクテッドファンを付けてこれで高速飛行する。
小さいながら主翼はあるので最高速時には上昇用ユニットは停止させるんだろうな。
構成はこれの丸パクリだ。
動力は全部魔道ジェットエンジンだが。
3座機はカイトプレーンで主翼は固定されている。
その少し下に左右に振り分けて垂直上昇用魔道ジェットエンジンを4基づつ前後方向に並べる。
4基のエンジンは空気抵抗にならない様に前後に長くて前後の両端が尖った流線型のフェアリングで覆う。
これがキャビンの少し上方に左右に並んで固定される。
見た目の差はこれだけだな。
よし!
王都に帰ったら中将に提案して早速試作しよう。
問題はホバリングの安定性をどうやって出すかだな。
いくら重量物を垂直上昇用エンジンの下にぶら下げると言っても複数エンジン出力の不均衡や横風、積載物の偏りなどで必ずドリフトは発生する。
一旦発生したドリフトは補正舵を打たないとそのまま横っ飛びするまで増大して最後にはひっくり返る。
やはりジャイロによる補正は要るな。
軸受が心配だが、とりあえずニードル軸受にして潤滑油を滴下する様にしてみるか。
ミスリル鋼の一番硬い組成の物を使えばかなり持つだろ。
そして運用方法だが、これもホンダのeVTOLに準じる。
垂直上昇用の8基のエンジンは上昇下降時のみ使用し、大半の飛行時には停止しておく。
主翼があるのでこれで浮力は出せるしな。
従って、垂直上昇用エンジンの魔石消費は上昇下降時の数分だけということになり、魔石の消費のランニングコストはほぼ無視出来る様になる。
水平飛行中はデッドウェイトになり空気抵抗も増すが、これに対しては主翼面積を僅かに増やす事で補正する。
おそらく水平飛行中の魔石燃費は2割から3割くらいは落ちるだろうな。
うーん、こうやって検討していくと、いかに通常航空機の効率が良いかがわかるな。
ぶっちゃけ、速度を出さなければグライダーだもんな。
まぁ前世の垂直離着陸機の歴史も似た様な苦悩の連続だったろうが、ヘリやオスプレイは実在している。
利便性は明らかなので価値は大きい。
なので試作は必ず作ってみよう。
最初はジャイロ無しだな。
ヘリの操縦なら学生の頃にエンジンラジコンヘリを趣味で飛ばしていたので少し腕に覚えはある。
あえてジャイロのスイッチを切ってスリリングな飛行をしていたしな。
まずは主翼を外した状態でホバリングの練習だ。
あと、前後左右の推力バランスをジョイスティクで操作するためのミキシングデバイスだな。
電子的なミキサーは使えないので純粋に機構的な物でバランスを取る必要がある。
うん。
何となく思いついた。
リンク機構のお化けになるが、原理は簡単だ。
8分割スイッチャーを作った時計屋に発注すればこれくらいのメカなら作ってくれるだろう。




