113◇俺専用馬車改
113◇俺専用馬車改
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さて、のじゃエルフ団長との楽しい会話もひと段落したところで、俺馬車の改造が終わったとの連絡が入った。
皆で見に行くと馬車止めに置かれた俺馬車はすっかり様変わりしていた。
一応箱馬車なのでシンプルな四角形をしていたはずだが、前後には曲面を使ったデコレーションが付き、窓枠にはキラキラとしたガラス細工が追加されていた。
俺が唖然とした顔で見ていると団長に袖を引っ張られる。
「どこを見ておるのじゃ!それは違う!お主のはこっちじゃ!」
なるほど、これはメンテで入って来た王族用馬車でしたかそうですか。
紛らわしいことせんといて欲しいなー。
これで通学するなんてどんな拷問かと思ったよ。
俺馬車は少し車高が高くなって車輪の周囲に黒いタイヤ状の弾力性のある帯が巻かれたくらいだった。
まぁそうだよな。サスとタイヤだけで見た目がそんなに変わるわけないもんな。
「外した車輪はこちらで保管しておこう。必要があれば渡すから申し出よ。」
「ありがとうございます。何から何まで面倒見ていただいて大変助かります。来月自領に帰省するのでそれまでには実現したいと思っていましたので嬉しい限りです。」
「うむ。こちらもお主の有用な意見を色々聞けて大いに楽しかったぞ。先ほど言った魔道ゴーレムエンジンは馬車の中に積んであるから帰ってからとくと触ってみよ。一応取説として研究資料も付けてあるので参考にの。」
「ぜひ使いこなしてみます。新たな使い道を思いついたらお手紙出しますね。」
汎用エンジンとして使えそうなんで、スカンク・ワークスの新しいオモチャとしてピッタリだな。
担任のショーンはゴーレムの自律動作を研究していると言っていたから、これを見ると齧り付くかもな。
再度礼を言った俺たちは魔法団を後にして帰途についた。
王宮の横を通る時点でもう乗り心地と走りが別格なのが分かる。
タイヤが変形する転がり抵抗が僅かにあるのは分かるが、それ以上に硬い車輪が跳ねて接地しないことによる不安定さが皆無だ。
サスペンションがそれに輪をかけて路面追従性を上げているので、横方向の安定性も抜群だ。
今までは路面の小石などで車体が横っ飛びする様なことがあったが、今は滑らかに直進する。
「すごい乗り心地ですね。なるほどこれがデビッドが絶賛していた足回りですか。」
ザンドが御者をしながら振り返って話しかける。
御者をするとその効果がより良く分かるのだろう。
自然とスピードも上がっていった。
街道を走る全ての馬車を追い越していく。
ちょっと危険なくらいに感じたので注意をして押さえさせると、本人はその自覚が無かった様だった。
スポーツカーを手に入れると免許の点数が激減するのと同じだな。
叔父宅に帰り、叔父に今日の出来事のあらましを報告する。
一応保護者扱いなので父親と同じ様に接する必要があるのだ。
「叔父上、ただいま帰りました。王宮魔法団の団長さんに会って色々お話ししてきました。馬車の乗り心地の話をしましたら私の馬車にも同じ装備を付けて下さって、乗り心地が激変しましたよ。今度乗ってみてください。」
「それは良かったな。でも魔法団の団長と言ったら気難しい年長のエルフと聞いたことがあるが、よく話せるな。」
確かに気難しい年長のエルフというのは間違いない。
だがあの見た目と性格だ。
前世でその手のラノベを腐るほど見てきた俺からしたら組み易い相手だった。
まぁ俺の前世がバレたってのも大きいが。
「団長さんとは話していてお互いに得る物が大きいですね。私の突拍子もないアイデアを面白いと言っていくつか採用してくれましたよ。」
「それは凄いな。その年であの団長相手にそこまで出来るとは。だが妙なところで絡まれたりしなかったか?」
あれ、叔父上はあの団長を知っているのかな?
「叔父上はあの団長をよくご存知なんですか?」
「実は学園の在学時代に3年の課外授業の魔法でしごかれたことがある。魔法団から特別講師として来たあの人はまだ団長になって数年だったので気が張っていたらしく、かなり無茶な指導をしてきたんだ。死人こそ出なかったが、かなりの重症者が複数人出たな。私もガミガミ言われて理解する間も与えられずに強制的に魔法を使わされるんだ。そりゃぁあまり良くは思わないな。」
「そうだったんですね。私にはその様には見えなかったのでかなり丸くなったのかもしれませんね。」
「いや、どうだろう。君というある意味魔法団すら飛び越した実績のある人物だ。そりゃぁ気を使うんじゃないかな。」
うーん、単に俺がのじゃエルフのあしらい方を知っているだけの様な気が...
「ま、まぁ団長のことは置いといてですね、来月長期休みに入りますので帰省を考えているんですよ。私の馬車は4人乗りでザンド、デビッド、アンナと私ですね。初めての帰省なので楽しみにしています。」
「ん?先日飛んで帰っただろう?あれも帰省じゃないのか?」
「あれは本当にトンボ帰りですので帰省の内には入りません。日帰りこそしませんでしたが、泊まった次の日の昼にはもう発ちましたし。」
「それもそうだな。1ヶ月はあるのだから何も急いで飛んで帰らなくともよいな。」
まぁそのうち6人乗りのフライング・ミニバンでも作ろうぞ。
そうだ、実家の庭に滑走路が要るな。
自宅保管なら機体の警備も万全だし。




