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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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111◇自走車

111◇自走車

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さて、来月から夏休みだ。

1ヶ月もあるのでさすがに馬車で帰る。

出来れば魔道エアクラフトで帰りたかったが、あちらでは整備も出来ないし何より機密保持が難しい。

護衛2人とアンナもいるしな。

彼らも帰省させないと不公平というものだろう。


ということで、馬車の改良だ。

あまり時間が無いのでとりあえず王宮魔法団の馬車をコピーする。

部材も魔法団から融通してもらおう。

自動で走る馬車も見せてもらってないしな。


で、アポの手紙を書く。

情報局経由で届けて貰うのが一番早いのでまず中将宛だ。


先日王宮魔法団の迎えの馬車の乗り心地に感銘を受けた。

ぜひ自分の馬車も改良したいのでお手解き願えないでしょうか。

また、馬無しで走る馬車にも興味があるで是非見せていただきたい。


こういう内容の手紙を送るとすぐに返事が来た。

お前のところの馬車を改造してやるから明後日乗って来いだと。

やっぱり馬無し馬車を自慢し損ねたのを惜しいと思っていた様だな。


当日デビッドとザンドと共にまず情報局に行く。

ここを飛ばすと中将がめんどくさいんだよな。


「おお、マーティン。今度は馬車か?馬車で空を飛ぶのか?」


御伽の国じゃないんだから妄想はやめてほしい。


「いえいえ、ちゃんと地上を走りますよ。乗り心地が良くなって速度も上がるだけです。決して飛びません。」


「あの王宮魔法団の豪華な馬車か。あれは確かに乗り心地がいいな。」


「あれの足回りを真似させてもらおうと思いまして、お願いしたら招待されたんですよ。」


「うむ。なるほどな。マーティンはあの団長に気に入られたみたいだから遠慮なく要望をぶつけてみるとよい。」


なんか情報局と確執でもあるのかな?

まぁあっちは中将が新兵だった頃には既に魔法団の重鎮だったしな。


「では魔法団に行ってきます。」


「おう。魔法団から何か新しいものを掻っ攫ってきてくれ。」


やっぱり何かあっただろ?

オカンみたいに思ってるのかな?

見た目はアレだけど。


「お世話になります、ご招待いただきましたマーティン・ランバートと申します。こちらが招待文になります。」


王宮の側を通って奥の魔法団の建物に着き、団長からの手紙を見せるとすぐに通された。

応接室に行くのかと思ったら中庭に通され、倉庫の様な部屋に案内された。


「おお、マーティン、待っておったぞ。先日の魔道コンタクターは上手く行った様じゃの。情報局から報告が上がっておったぞ。量産用の手配もされておったので至急用意させよう。」


「ありがとうございます。あの魔道コンタクターがあることによって絶大なる安心感が出ました。飛んでいる最中に不具合が起きたら生死に関わる場合もありますので、ああいう魔道工芸の極みの様な物が使えると非常にありがたいです。」


「そうかそうか、あれは我らも自信を持って作っておるしのう。あれを真似することはほとんど不可能じゃろうし。」


「そうですね、あれほど繊細な魔法陣を両面に刻んで繋げるなんて並大抵の人には出来ませんもんね。」


「おい、なぜそれを知っておる?もしやあれを分解したのか?」


やっべー、うっかり言っちまった。


「申し訳ありません。興味に負けて一番小さいのを分解してしまいました。中の合理的な構造と繊細な魔法陣は感銘を受けたところです。」


「まぁ儂もお主にやる時に分解するなとは言わなかったので今回は不問にしよう。で、中の魔法陣についてどう思った?」


「石英板の両面に刻まれた魔法陣が所々に開けられた穴で裏表繋がっていますよね?これってものすごく効率が良くなりませんか?2つの魔法陣が魔力的な相互干渉無く最短距離で接続されているってことですよね?」


「そこまで分かるのか。確かにそれを狙ってあの構成にしてある。研究段階では4層構造まで試しておるがのう。」


4層基板ももうあるのかよ。

そのうち制御チップとして魔石でも実装するんじゃないかな?


「お主のいた世界ではどうなのじゃ?魔法が無いのなら魔法陣もあるまい?」


「はい、魔法も魔法陣もありませんが、電気信号と半導体というものがそれの代わりをしていました。集積回路というあちらの世界での魔法陣に相当する物で、数百万個の微細な石英粒で組み立てられており、それに電気を決められた手順で流すと自分で判断する様な処理も出来る物もありました。」


本当は最新のGPUなんかのトランジスタ数は数百億個なんだけど、それを言っても信じてくれないだろうし。

また、石英も精錬して金属シリコンにして使っているなんて言っても分かってくれないだろうな。


「うーむ、想像もつかんのう、全て電気でやるとは。こちらでは電気と言えばライトニングショットが代表的な使い道じゃ。他に治療に使って神経を刺激する時くらいかのう。」


治療魔法の一環として体電流の流れを整えたり、ピンポイントで電気刺激を与えたりして体調を良くするらしい。

前世の整体と鍼灸の電気針みたいなもんかな?


「なるほど。やはり使い方は結構違うものなんですね。しかし、先日いただいた魔道コンタクターにしてもあちらの世界でも似た様な物がありまして、電気の大きな流れを断続するものなんですよ。機械的に断続するものと、石英板の魔法陣と同様の働きをして可動部無しで大電流を断続する物がありました。それと似ているなーって思って思わず分解しちゃいました。申し訳ありません。」


「うむ、気にせずとも良い。それよりも前回儂が見せそびれた「自走車」を見るがよい。」


そう言うと、団長の部下が倉庫の奥から小型のトゥクトゥクの様な乗り物を押してきた。

前輪は1輪で、バイクの様なハンドルが付いている。

後輪の真上には両端に軸が出た箱が乗っており、後輪の内側にある少し小径なギヤと連動する様に接続されていた。

箱の蓋を取るとそこにはゴーレムの腕が3本入っており、120°ずつクランクを掴んで回す様になっていた。

まるで前世の3気筒エンジンみたいだな。

箱の中には魔石の入った箱と魔道コンタクターもある。


「これが今研究中の自走車じゃ。ゴーレムの腕を3本使い、均等にこの軸を回すと滑らかに回転し、この歯車で後輪に動力を伝える。制御はお主もやっておった様に腕にコントロールリングを嵌めて流す魔力でするのじゃ。乗ってみるか?」


これにいきなり乗れってか?まぁ原理と構造は一目瞭然だから恐れるほどのものではないが。


「はい、是非乗せてください。」


俺は部下の人に手助けしてもらって御者席の様な所に乗り、腕にコントロールリングを嵌められる。

バーハンドルを握るがブレーキレバーが無いのでビビる。


「これ、止まる時はどうするんですか?」


「ゴーレムに流す魔力を小さく抑えれば自然と止まる。あれは惰性で動くことはないので、それで減速できるのじゃ。」


なるほど。ステッピングモーターみたいなものか。

押すと動くので完全に魔力を断つとフリーで回るみたいだけど。


「分かりました。では試させてもらいます。」


俺はハンドルを握って真っ直ぐに向け、ゆっくりと魔力を流す。

いきなり加速したので慌てて魔力を断つ。

めっちゃ起動トルクが大きいじゃん。


今度は最初にパルス的に魔力を流してその後は糸を引く様に魔力を絞る。

すると最初はガクッと動きだすがその後はスムーズに走る。

糸を引く量を微妙に変えることで速度は自在に変えられる様になった。

魔力の量をある程度増やすと今度は逆に減速し、極低速で動く様になる。

ホントにステッピングモーターみたいだな。


ある程度走っていると、魔力を糸の様に絞らなくてもスムーズに走らせることが出来る様になった。

まるで高性能リッターバイクをローギヤだけで走らせているみたいだな。

繊細なアクセルワークが要る。


一旦止まった時に魔力の向きを変えるといきなりバックした。

DCモーターの極性を変えるみたいだな。

でも後退が出来るのは便利だ。

120°クランクの3本腕にしてあるのはこれの制御のためかもしれないな。


ハンドルはお世辞にも扱いやすいものではない。

キャスター角も付いておらず、セルフニュートラル性も無いので真っ直ぐ走らせるだけでかなり腕力が要る。

前輪にはサスペンションも無いので地面の衝撃がもろに手に伝わるし。

でも面白いな。

不安定なトライクみたいだ。


「すごいですね、これ。思う様に操作できますし、力もすごいです。」


しばらく乗って満足したので降りて団長に言う。


「お主、これに似た様なものに乗ったことはあるのか?この短時間であれほどスムーズに乗れる様になった者はここにも居らんぞ。」


「えーと、そのものずばりではないですが、似た様な走り方も出来る乗り物を持ってました。動力の特性も似たところがあったのですぐに馴染めたのだと思います。」


「なるほどのう、これに似た物を個人で持てるのか。よっぽどの金持ちじゃったんじゃな。」


「いえいえ、庶民でしたよ。馬車よりも安かったですし。たぶん大量生産しているからじゃないですかねぇ。」


「うーむ、聞けば聞くほど謎の世界じゃのう。まぁおいおいと聞いていくか。」


「このゴーレムエンジン?って量産する予定はないんですか?出来れば欲しいんですが。」


「そう言うと思って一つ用意してあるぞい。モニターじゃな。好きに使って何か面白いアイデアがあったら教えてくれればそれで良い。耐久性は未知じゃが、なに、壊しても文句は言わん。」


「ありがとうございます。ものすごく嬉しいです。これを使って色々試してみます。あと、馬車の足回りもお願い出来ませんでしょうか。」


「おう、そっちが主目的じゃったのう。ではお主の馬車をここに持って来るがよい。」


「こちらの馬車止めに置いてありますので乗って来ましょうか?」


「あいや、馬は入れんで欲しい。馬糞が転がると試験に差し障るしのう。ではこれで行って引っ張ってくれば良かろう。」


そう言って、団長は自走車の後ろのフックにロープを巻いて渡してきた。


部下の人に案内してもらって歩くくらいの速度で馬車止めまで自走車を運転していく。

ザンドとデビッドに馬具を外して馬をどかせてもらって、俺専用馬車の馬具の中間辺りを自走車の後ろのフックにロープで結ぶ。

ゆっくりリングに魔力をかけるとじわっと動き出した。

もうだいぶ慣れて極低速も思いのままだ。

トルクもあるので重い馬車を軽々と引っ張る。

これ、大型化した魔道エアクラフトのトーイングカーにちょうどいいな。


中庭に戻って来ると、車輪やサスペンションと思しき部品が用意されていた。

団長が手招きするのでその前で自走車を止める。


「これは取り付けるのにちょっと一癖あるんでのう。こっちで勝手にやらせてもらうぞ。」


やけに手慣れているなと思ったら、王族用の馬車は最近全てこの形式に交換したので慣れているらしい。

部材もスペアを含めて潤沢にあるので、貴族用の馬車1台くらい仕立てるのに手間はかからないんだそうだ。

2時間くらいで出来るそうなので、その応接室で話をすることにした。


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