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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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110◇3座機量産

110◇3座機量産

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さて、3人乗りの機体の試験はこんなもので良いだろう。

早速図面を更新して量産に入ってもらおう。


エドモンドはもうちょっと細部を詰めたいと言っているので軍部工場に残し、俺と護衛2人は馬車で情報部に行く。

身分証を出して中将にアポをお願いすると30分くらいで出てきた。


「やぁ、魔道コンタクターだっけ?あれの調子はどうかね?」


「ありがとうございます。おかげさまで全くトラブルが出なくなりました。つきましては3座機の量産を始めたいと思いますので、まず部品を仕込みたいと思います。詳しい事はウチのエドモンドとモーリスに話しておきますので、部品リストが出ましたらまずその部品の調達をお願い出来ませんでしょうか。工場の容量もありますので、まず5機から始めたいと思いますがいかがなものでしょう?」


「うむ。こちらも操縦者の確保の問題があるからそれくらいから始めてもらうと助かる。特に夜間飛行に適した魔法兵の確保に時間がかかると思うしな。」


うーん、そうなんだよなー。

夜間飛ぶだけの任務に貴重な魔法兵を束縛するのはもったいないんだよなー。

要は対地高度レーダーと強力な着陸灯さえあれば1人で飛べるのだし。

それこそ魔法団の団長に相談してみればいいか。

後で手紙を出しておこう。


「承知しました。では後ほど部品リストをまとめて提出させていただきます。」


「うむ。よろしく頼むぞ。」


その後馬車で学園に行き、午後の授業に出る。

最近は同級生も慣れてきた様であまり聞いて来なくなった。

まぁ相変わらずジャンとスカーレットは遠慮無しに詮索してくるが。

ひょっとして他の人はその内容を横で聞いているだけで十分なのかもしれないな。


「ところでマーティンの事業?商売?はどれくらい儲かってるの?」


いきなりスカーレットが答えにくい質問をぶつけて来る。

さすがは王都の大手商社の娘だな。

だが、もう事は学園内部に収まっておらず、情報局は元より王宮魔法団まで巻き込んでいるのだ。

はっきりとは言われていないが、向こうは当然軍機のつもりだろうし。

俺がうっかりここで話すと非常にまずいことになるだろうな。

特にスカーレットはすぐに親に言って商売に介入しようとするだろうし。

そうなればそこの社員や出入りの業者に口伝てに広がり、敵対国家にその情報が流れかねない。

その結果、スパイ行為と取られて一家断罪なんてなったら寝覚めが悪いしな。

そこまで考えてスカーレットにはきつめに言う。


「もう噂では知ってると思うけど、俺の立場はもう学園のレベルを超えてるんだ。そして俺の今の商売相手は国軍だよ。直接情報局や王宮魔法団の責任者と会ってたりする。なので君が知ると非常にまずい立場になることがあるけど、それでも聞きたい?」


「た、試しにどんなこと?」


「そうだな、俺の商売一つで大量に人が死ぬ。もしくは死ぬのを回避する。そんな商売なんだけど、君に聞く勇気はあるかな?」


「い、いや聞かなかったことにしてクダサイ..」


やっぱりビビるよな。

周囲の同級生もドン引きしている。

今まで陽気な空飛ぶヤンキーと思われていたのが、急にダークな面が表に出てきた様なもんかな。


「とまれ、俺の授業参加は今後も不定期なると思うから他クラスや他学年の連中からの干渉があったら知らぬふりをしてもらうと助かる。」


「わかったわよ、あんたのいう通りにする。だから学園を守ってよね!」


うーん、何か勘違いをしているな。

俺のやる事に興味を持つなとは言ったが、学園を守るなんざ一言も言ってないぞ。


まぁこの国の軍の能力を上げて、他国が到底攻めて来ようと思わないほどの技術格差を付ければ良いのだ。

いずれ真似はされようが、俺の打ち出の小槌は汲んでも尽きぬ泉の如しだ。

小出しにしても常に他国をリードして、知識チートだけで20年はイケるだろう。

それに何と言ってもスキルの自衛隊魔法がある。

今はランク3だが、これが更に増えていくと装甲車くらいは出そうだしな。


放課後になってスカンク・ワークスの部室に行くとモーリスが図面と睨めっこをしていた。

俺が入って行っても気が付かないのでしばらく眺めていた。


「何か悩み事?」


俺が声をかけるとギョッとした様に振り向く。


「なんだ、ボスか。エドモンドの方はどうだった?」


「今日の午前中に試験飛行して全てに問題無いことを確認したよ。あ、中間席の操縦桿ありがとね。どちらで操縦しても殆ど差が無いくらいで非常にスムーズに動くね。」


「うむ、あれは最初はワイヤーを前後席にそれぞれ引こうとしたけど、良く考えれば前後の操縦桿の底部でリンクを使って連動させるだけでいいって気がついた。いいよな?それで。」


「勿論。既にワイヤーは二重化してあるのでそれ以上複雑にすることもないしね。あ、これ別件なんだけど、キャビンの先頭にピトー管を付けられないかな?」


「ピトー管?」


「あ、これはたぶん聞き間違いだ。やりたいことは飛んでいる時の対気速度が知りたいんだよ。風に向かって一定速度で飛ぶと魔石の消費が飛ぶ距離に対して少なくなる速度領域があるんだよね。その速度を予め測定しておくと、他の人はその飛行条件にするだけで節約飛行が出来るんだ。軍の機材なら必要と思ってね。」


「なるほどそういう理屈なら納得だ。で、どうやって計るんだ?」


「ちょっと図に描くね。こんな風に二重になったパイプを使い、内パイプは正面に解放し、外パイプは側面に穴を開けて大気解放するんだよ。そして内パイプと外パイプを延長して下の方で接合し、そこに水銀を入れるんだ。そして飛行方向に向けた内パイプにかかる圧力と、外パイプの側面にかかる大気圧の差を水銀の移動量で知るってとこかな。」


「なるほどな。これなら停止時には両方解放されたのと同じだから必ず同じ水位になるってことか。そこから正面の方からだけ風が押し込まれるので水銀の水面が移動するんだな。」


「そう、だから飛行高度による大気圧の変化にあまり影響されず、常に対気速度が分かるってことだね。」


「分かった。試作してみよう。水銀なら簡単に手に入るから安いもんだ。」


「出来たら1号機に付けといてくれない?自分でテストするんで。」


俺はピトー管の取り付け位置と水銀が見える位置を紙に書いて渡す。


「この間のパイプをどうするかだな。細い銅管があったと思うんでそれで延長するか。見える所はガラス管でいいよな?」


「そこら辺はある程度の強度があれば何でもいいよ。ガラス管の水銀には目盛を付けておいて欲しいね。」


「了解だ。数日くらいで出来ると思うんでやっておこう。」


水銀は前世でも太古の時代から色々な用途に使われていた。

現代でこそ有害物質扱いで目にすることは無くなったが、昭和の時代の体温計はほぼ水銀式だったし。


「ありがとう。あと情報局の中将と会って量産の話をしてきたよ。まず5機ということになったので部材の調達から始めたいんで使用部品リストを作って中将に提出してくれない?エドモンドにも話しておいて。」


「分かった。情報局が中間で色々やってくれるのは楽でいいな。王宮魔法団の伝手なんて普通じゃ無理だし。」


「そうだね。軍ならではの仕入れルートもありそうだからいい物が手に入りそうだしね。」


うん。

ミリタリーグレードで市場で買うとバカ高い物もお安く仕入れられると思うからやはり軍需はいいな。


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