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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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102◇カイトプレーン

102◇カイトプレーン

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1時間ほどしてモーリスが修正が終わったと言いに来る。

では試験飛行しようということになったが、スカイコンドルは出払っているし、新たな機構なので当然俺がテストパイロットだ。

機体を軍部工場の格納庫から大人5人がかりで押し出し、工場横の幅の広い空き地まで移動してくれた。

この広場は軍の兵站部の糧食保管場所にも使うらしいが、戦時以外はだだっ広い空き地だ。

なるほど、これならもっと大型な機体でも離着陸出来るな。

幅30m、長さは200mくらいある。


風下の方に押して行って向きを変える。

俺は馬車に積んだままにしていた飛行装備を身に付けてカイトプレーンの操縦席に乗り込み、魔力コントロールリングを両腕に嵌める。

これもそのうちスロットルレバーにしないとな。


シートベルトを締め、各動翼の動作確認をする。

十分軽く動いて引っかかることもない。

エンジンチルトダイヤルも回してみてスムーズに動くことを確認した。


まずはタキシングで地上で動翼の効きを確認してみよう。

前輪は複座機と同じ両足のペダル操作なのでこれを中立に力を入れて固定し、方向舵の効きを確認する。

スロットルを2割くらい開けるとするすると走りだす。

両足を踏ん張ったままハンドルを右に回してみる。

機体の後部が左に引っ張られて機種が右を向く。

前輪がズズズっと横滑りしているな。

同じく左も確かめる。

同じくらいの操作感だ。

ちょっと舵角が大きい様だが、まぁ慣れでなんとかなるだろ。


広場の端まで来たのでペダルを踏んでUターンし、今度は昇降舵を確認する。

垂直尾翼の下には削れ防止のスキッドプレートが貼ってあるので、スロットル2割でハンドルをじわっと手前に大きく引いてみた。

機種が上がり、スキッドプレートがガリガリ地面と擦れるのが分かる。

ここはサスペンション付きの尾輪にしてもらおう。


元の位置まで戻ったので、今度は低高度で周囲を飛んでみよう。

王都の外れにあるので周囲は農地で遮るものは無いので自由に飛べるな。

とりあえず滑走路不足が怖いのでスロットルは全開にする。

昇降舵を少し押さえ気味にして速度を上げ、体感で時速60kmを超えたくらいで昇降舵をゆっくり引く。

尾部のスキッドプレートを地面に打つこともなく離陸した。

高度を20mくらいに保ち、スロットルを5割くらいに戻して農地の上に行く。

方向舵を操作するとカイトプレーン特有の尾部が横振れする様な挙動をして旋回する。

これも舵角が大き過ぎる様でかなり過敏に動くな。

動かし過ぎると巻き込んで失速しそうだ。

次に昇降舵を操作して上昇下降を試す。

結構過敏に動くが、スロットルとの兼ね合いでこっちはある程度誤魔化しが効く。

超絶レスポンスの良い魔石ジェットエンジンはパルス状の噴射が出来るので、昇降舵の操作に失敗してもすぐ様全開にすれば大概リカバリー可能だ。

まぁこちらは全遊動式昇降舵の速度域による主翼の擬似的仰角補正にも使うんで、これくらい動いた方がいいかもしれない。


ある程度高度20mくらいで動作確認して問題無いと判断したので高度を上げてみる。

をっ!ほんの僅かなショックがあって魔石ジェットエンジンの動作セグメントが切り替わったのが分かった。

5分以上は飛んでいるのでその一つ前の切り替え時は分からなかったな。

たぶん円周配置している切り替え接点の製作ばらつきだろう。

まぁこの程度なら修正するまでもないので気にしないでおこう。


スロットルを8割まで上げると上昇率は複座シリーズよりも速いことに気がついた。

本来3人乗りの大きさ重量に合わせて魔石ジェットエンジンの大きさを一回り大型化してあるので、軽量な俺一人の搭乗時にはかなり余裕があるんだろうな。

高度を一気に1000mくらいまで上げ、全開にして最高速を試してみる。

明らかに複座シリーズよりも速いな。

やはり主翼の翼断面化と擬似固定翼化が効いているみたいだ。

特に昇降舵を全遊動式にしたことで、主翼が水平に近い状態でも感覚で水平飛行することで水平尾翼の空気抵抗が増大せずに飛べているのが大きいと思う。

更に尾翼があることの風見鶏効果で自動的に機首が風上に向くのも安心感があるな。


あれこれ試していると急にスロットルが反応しなくなり、エンジンの推力がゼロになった。

エンジンは3列目の席の更に後ろにあるので飛行中は触ることが出来ない。

仕方なく滑空に入り、失速に注意しながら大きく旋回して広場を目指す。

最後の旋回でちょっと高度が足りなくなったので強引に昇降舵を引いて失速スレスレで飛距離を稼ぐ。

最後の最後で急速に落下し始めたが、何とか無事に着陸出来た。


「エンジン止まったー。」


エドモンドが青い顔をして駆けつける。

制御ボックスの蓋を開くともうもうと煙が上がった。

どうやら接点が焼き切れたらしい。

シートベルトを外して降り、制御ボックスを覗き込む。

ミスリル銅合金の接点が焼損し、溶けて周囲が真っ黒になっていた。

完全に容量不足だな。

全開にして最高速を連続で出した時にオーバーロードしたんだろう。

いや、魔力充填にしか使っていないから全開は関係ないか。

単純に接点切り替え時に何か不具合があったのだろう。

ブレーカー的な物が要るな。


「エンジンの魔力入力が思ったよりも多かったのかな?」


「そうだな、この接点は経験則で出したが、何か測定器の様な物が要るな。」


「あと、この接点容量よりも少し低い魔力量で反応する魔力遮断器みたいなものってある?」


「確か魔石の充填試験で使っていたと思う。帰ったら確認しておこう。」


「それを魔石入れのすぐ下のミスリル線に入れておくと、たとえ遮断されても自分で復帰出来るんで飛び続けられると思うんだよ。それ以降はスロットルを控えめにすれば再度遮断されることも無いだろうし。」


「うん。それは必ず入れよう。今回、君じゃなかったら墜落してたかもしれないしな。」


「お願いね。機体の方は特に問題無かったけど、ちょっとだけ舵角を少なくした方がいいかな。今の7割くらいに。」


「上空でかなり急激な動きをしていたな。確かに大将以外があれをやったら即落ちるな。よし、早速調整しよう。」


大人5人でゴロゴロ押して格納庫に入れ、この日の試験飛行は終わった。


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