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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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101◇3座機改良

101◇3座機改良

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3日後、授業を受けていると昼休みにモーリスとエドモンドが揃って訪ねてきた。

俺の言った改善が出来たから今から軍部工場に来いだと。

仕方がないので担任のショーンの所に行き、早退を宣言する。

申請ではなく宣言だな。

スカンクワークスの業務だし。

昼からの授業が無いショーンもついてくると言う。

一応メンバーなので記録係として働いてもらおう。


俺専用の馬車は室内に4人、御者席に2人の合計6人乗れる。

俺とスカンクワークス顧問の合わせて4人は室内に乗り、護衛の2人は御者席に乗る。

かなりの重量になるので馬を労って少しゆっくりめに王都にある軍部工場に行く。


「3日で仕上げるなんてすごく早いね。ワイヤーはどうしたの?」


「鉄線を少し細めのダイスに通して引っ張ると強度が上がる方法を使って作るんだ。そのままだと硬くて脆いから後で焼きなましはするけど。その後ミスリル浸透加工して強度と表面硬度を上げて撚り合わせて仕上げると、細いけど抜群の引っ張り強度のあるワイヤーになるんだ。」


「なるほど。今回使ったワイヤーの引っ張り強度ってどれくらい?」


「0.5タン(t)はあるな。人力で引くんならそれくらいあれば十分だろう。念のため二重化しといたから、万一1本切れたり外れたりしても操縦不能になるこたぁないだろ。」


「さすがだね。安全への配慮が嬉しいよ。」


「俺のエンジンも聞いてくれよ。最初手動で魔力充填を切り替えてたんだけど、やっぱり不便なんで自動で切り替えることにしたんだ。懐中時計があるだろう?あの構造を使ってゼンマイでミスリルの端子を回転しながらゆっくりと切り替える機構を時計屋に作ってもらったんだ。最初にゼンマイを一杯に巻いておけば丸1日は動くらしいんで十分なんじゃないかな。それと各接点は銅とミスリルの合金で耐久性を持たせてあるし、スナップ機構で回転位置まで来たらパチンと一気に繋がったり切り離されたりするんで、確実に切り替え動作をすると思うんだよ。あ、もし自動回転機構が壊れた場合も想定して、レバーを引けばダイヤルを回すことで手動切り替えも可能なんだ。」


すげぇな。

俺の期待以上だ。

この世界の技術者を舐めていたことを反省する。

俺は前世は一応開発系の技術者だったが、航空機や銃器は専門外だったしな。

趣味で知っている程度の概念を話しただけで、こっちの技術であっさり実現されてしまった。

しかもこっちには前世には無いテクノロジーとして魔法がある。

マテリアルとしての魔石や魔法金属とデバイスとしての魔道具もあるし、何なら前世の技術レベルを超えるのも時間の問題かもしれない。

俺がその先導役をするかもと思うと思わず身震いがした。

正に歴史の転換点だ。

しかもそれを今主導しているのが他ならに俺自身だということに気がついてちょっと涙ぐんでしまった。


「おいおい大将、そんなに感動しなくてもいいじゃないか。お前さんの案を聞かなければ出来なかったことだぜ。」


「そうだな。君の言ったアイデアをちょっと捻っただけだぞ。時計なんてかなり前からあるもんだし。」


いや、そういうことじゃなくって、などと言えるはずもなく、俺は苦笑いをして機体を案内してもらった。


「まずエンジンを見てくれよ。2基のエンジンの中央に魔力補充用の魔石入れを置いたんだ。魔石入れは内側をミスリルメッキされていてそこから底に描かれた魔法陣を通して魔力を抽出するんだ。そこから絶縁処理された太いミスリル線で分配器と遮断器の組み合わさった制御ボックスに入り、時計仕掛けの回転スイッチャーで1回転24分かけて切り替わる様にしたんだ。8分割なので1箇所あたり3分だな。」


ラーメンタイマーかよと一瞬思ったが、なるほど魔石の大きさとのバランスでちょうど良い配合だなと感心する。

8分割の残りの21分の間、3分間で補充した魔力が持てばいいのでエンジン自体に使う魔石を小さくできる。

これによってより高密度に魔石を配置すれば、同じ大きさで推力を向上させることも難しくないだろうな。

制御ボックスの蓋を開けて見せてもらうと、中にはゼンマイを巻き上げるハンドルと丸い回転機構があった。

回転機構には停止レバーがあるので任意の位置で停止出来る。

手動操作用のレバーとダイヤルも確認した。

中には8等分されたミスリル端子が二重に配置されており、一つは操縦者の制御リングから来た制御線、もう一つは魔石入れの底から来た魔力補充線の接続先だ。

これを8分の1ずつ制御線切断と魔力補充線接続を同時に行う。

エンジンにはそれぞれの線が8等分された個々の魔石推進部分に接続され、接続箇所には小型の制御魔法陣が描かれた円盤が仕込まれている。

円筒形の全周に16本のミスリル線が接続されているところを見ると、見た目は前世のジェットエンジンに似てきたな。

あれも燃焼室は8等分されているのが多かったからこれまた似た構成になってるな。


「俺の機体も見てくれ。まず主翼とキャビンは上部にレールを付けて脱着出来る様にしながら固定したんだ。これで主翼が壊れた時なんかに簡単に交換出来るな。それに追加でキャビンの側面と主翼の中間をワイヤーで結んでおいたんで突風に吹かれても大丈夫だろう。尾翼は大将の言った通りにしたぜ。垂直尾翼と方向舵は蝶番で繋いで動く様にしたし、水平尾翼は左右をミスリル入りの薄肉パイプで繋いでそれに翼面の板を固定したってとこだ。あ、垂直尾翼との結合部には一回り大きいミスリル入り薄肉パイプで中に潤滑用の鉱物油を染み込ませたフェルトを入れておいたんで人力で軽く動くぜ。」


「すごいな。思った以上だ。操縦桿との結合も見せて。」


操縦席を見ると両手で持てる位置に丸い円盤があった。

床から伸びている板に取り付けられていて回すことが出来る。

回してみると適度な抵抗感で方向舵が切った方向に動いた。

今度は前後に倒してみる。

手前に引くと全遊動式昇降舵の前縁が上がって機体が下降する様に動き、向こうに押すと前縁が下がって上昇する様に動く。

やっぱり勘違いして逆にしているな。


「方向舵はこれでいいんだけど、昇降舵は動く向きを逆にしてくれない?これだと直感的に間違った操作をしてしまうと思うんだよね。」


「え、俺の思っていたのと違うんだが、どういうことだ?」


「まずこの舵は船の舵と同じで、前から吹きつける風を受けてその抵抗で尾翼を振るものだよ。垂直尾翼の方向舵は船の舵と全く同じだからこの向きでいいんだけど、水平尾翼は上昇と下降を扱うものでしょ。上昇する時は機体を引っ張り上げたいし、下降する時は機体を下向きに押さえつけたいよね。上昇する時は水平尾翼は下に向いて欲しいんだ。そうすると舵面に前からの風が当たって尾翼を下向きに押して、結果的に機種が上を向いて上昇するよね?」


「はっ!そうか!なるほどコントロールバーの操作とは逆になるんだな。あれは動かす所が主翼全体なんで直感で分かるが、これは構造が違うんで逆にした方が自然なんだな。」


そうなんだよ。

ここが固定翼機の難しいところなんだよな。

逆にいかにハンググライダーベースの機体の操縦が簡単だったかだ。

航空機の専門家でもない俺でも実用レベルにするのが容易だったし。

前世でもウルトラライトプレーンの入門機と言ったらまずコントロールバー操作のモーターハンググライダーだしな。

まぁ今回の機体は完全固定翼ではなく、ハンググライダーとの合いの子のカイトプレーンなんでまだ簡単なんだろうけど。


「すぐに手直しするから1時間ほど待ってくれないか。その間にエドモンドの作った魔石ジェットエンジンの取り付け機構部も見てくれ。そこは俺が工夫して作ったんだ。」


「機構部はあまり得意じゃないんでモーリスに作ってもらったんだ。どうだい?左右のエンジンと中央の魔石入れや制御ボックスを一体化して、それ全体を縦方向に回転させる様にしてる。調整はネジ送りでやるんだけど、ワイヤーで延長してもらって操縦席の左側のこのダイヤルで操作出来る様にしたから飛びながらでも触れるな。」


うん、完璧だ。

ネジ送りなので強度もあるし、途中で止めても摺動箇所の抵抗で勝手に回ることもないし。

リモコン用のワイヤーケーブル付きというのも便利だな。

前世のリッターバイクのリアショックのリモートプリロードアジャスターと全く同じ構造なので思わず笑ってしまった。

あれも運転しながら調整出来たんで利便性まで同じだ。


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