禁書庫と皇女様⑧
「さて、シアさん。ようこそ、禁書庫もとい『漫画収蔵庫』へ」
「まんが?」
「そう、扉に『漫画収蔵庫』って書かれていたからね。ここに並んでる本は、全部漫画だろうね」
螺旋階段に沿って本棚が並んでいて、上を見上げるとどこまでも続いているようにも見えた。
「……どれどれ。……やはり異世界語は読めないですね」
「あぁそうか、読めないよな……」
「……ユウタ?」
「さっきオレが割に合わない的な事言ったの覚えてるよな?」
「もちろんです。」
「とりあえず、オレが読んで聞かせてみようか?」
「うん?」
ユウタとシアは隣り合って座り、ユウタが本を読み始めた。
「じゃあ、まずこれ。『勇者の冒険譚』。死んだ青年は異世界でチートをもらって成長し、魔王を倒して王様になる話だ」
「なるほど、漫画はこう読むのですね。内容はまあ、都合よくできてますね」
「読者が気持ちよく読めるようにする配慮だね。次は『爆裂サッカー』。サッカーっていうスポーツを、演出過多で描いたものだね。向こうの世界には魔法がないから、ボールが燃えるなんてありえないんだけど、そういうものとして見るんだよ」
「……それでユウタは何が言いたいです?」
「今見た漫画から国を良くするヒントは得られそうかい?」
「……」
シアは黙ってしまった。しかし間をおいて言葉を紡いだ。
「……でも、ユウタ。漫画は時間を忘れて見入ってしまうほど面白かったです」
「いいところに目をつけたね。そう、漫画はすべてがそうとは限らないけど、基本的には娯楽なのさ」
「……この世界とは本の概念が違う?」
「漫画もこの世界に落とし込めば、娯楽の一部として認知されるかもだけど、それって、異世界文化の侵略だよね?」
「!」
「おそらくここはオレの先人のコレクションで、亜空間にあるんだと思う。ミハル様たちが危険性を感じて、禁書として管理してるんだろうね。それじゃあ禁書の件はこれで……シア?」
シアはユウタの腕を掴んだ。
「……まだ終わってないです。私はユウタの秘密を知ったです。それなのに成果なしじゃ終われないです」
「なら時間がある時にまた来て少しずつ読もうか?」
「ユウタ?」
「許可証はオレが持ってるし、いつでも入れる。今日は帰ろう?」
「分かりましたです。毎日でも連れてくです。」
「オレの都合のいい時な!」




