12/32
車椅子の少女と歌姫③
日没を告げるように、時計台の鐘が鳴り響いた。
「あっ! もうこんな時間。病室に帰らなきゃ。お兄さんのせいで、歌姫さんを探せなかったじゃないですか!」
「……いや、これはすまん……オレのせいなのか?」
「責任を取って、明日も来てくださいね」
「……来なかったら?」
「お姉ちゃんに連れてきてもらいます」
「……やめてください。死んでしまいます。……わかったよ。明日もここでいいのかい?」
「ええ!それじゃ、私はこれで」
車椅子とは思えないスピードで走り去っていった。大丈夫かな?通行人を跳ねたりしないかな?
「……っと、のぞき見はよろしくないですよ『歌姫』さん」
「……」
そう言われて木の陰から出てきたのは、ミホだった。
「……私との約束をほったらかして、女の子と話してて楽しかったですか?ロリコンさん?」
ミホはご立腹のようだった。




