五十嵐圭太郎の鬱屈④
前回までのあらすじ、二人揃って屋上から転落
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神庭海凪「キン肉バスター!!」
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二人とも無事生還……以上!!
——そして俺は生還こそ果たしたものの、現在進行形でキン肉バスターかけられている。
「マジふざけんな……」
「よかったではないか?逆の立場だったら貴様を痴漢として訴えていたぞ、せいぜい感謝するがいい」
「キン肉バスターで痴漢ってなんだよ!?キン肉マンだって、痴漢目的でキン肉バスター習得した訳じゃねぇーだろ!!今すぐゆでたまご先生に謝ってこい!!っていうか、いい加減離せ!!」
「もう少し……こうしていたいな……♡」
「テメーここぞとばかりにカワイコぶりやがって!!美少女なら何でも許されると思うなよ?というか100%私怨ですよねェ!?」
「当然……☆」
「ぐわァァァァァァ折れるガチで折れるって!?ギブ、ギィィィィブ!!」
——と、まぁ外から見ればバカップルと思われても仕方ないような馬鹿騒ぎを繰り広げているうちにグラウンドに人が集まり、俺は有無を言わさず病院送りとなった。
▷▷▷
「知らない天井だ……」
——主にキン肉バスターかけられたせいで検査入院となったが、どうやら何事もなかったようだ。とはいえ、正式な検査の結果が出るまでは病院生活となるだろうなぁ……
それにしても、今頃『神庭海凪が男子生徒にキン肉バスターかけて病院送りにした』なんていう武勇伝?みたいのが出来上がってるかもしれない。
——これがあながち間違いでもないから対応に困るのだが。
「もう大丈夫だ。何故って?吾輩が来たァァァァァァァァ!!」
——出たな諸悪の根源……
「間に合ってます」
——ガオンッ。
すぐさまベッドの周りのカーテンを閉ざす。しかし、対する神庭海凪は当然の権利のようにカーテンを開け放つ。
——ガオンッ。(カーテン閉じ)
「何がしたいのだ貴様はァァァァァァァ!!」
「うるせェェェーー!!だから間に合ってますって言ってるだろォォォーーー!!」
「うるせェのはテメーらだァァァァァ!!病院でイチャつくな磔にすんぞゴラァァァァァ!!」
——夜勤でストレス溜まってると思われる看護師さんに一喝されてしまい、互いに冷静になる。
「で?何しに来たんだよ。俺を笑いに来たんだったら3分以内に失せろ」
「何を言っている?お見舞いに決まっているだろう。無意識とはいえ……その……キン肉バスターかけてしまった訳だからな……」
神庭海凪は伏し目がちにこちらの様子を伺いながら、そう小さく呟いた。
——今の仕草マジでドキッとした。神庭海凪、ガチで可愛いじゃん……電波だけど!!いや、元から神がかり的な美少女だったわ忘れてた……電波だけど!!
「一応、飲み物も買ってきたぞ、冷えた午後ティーしかないが、まぁ気にするな」
「ありがとよ……」
——ここ数分くらいの会話だけで、俺の中の神庭海凪株が急上昇している。なんだよこいつ……可愛いじゃん……
神庭海凪から貰った午後ティーのキャップを空けて、一口飲む。微糖特有の仄かな甘みが精神的な疲れを癒やすように染み渡る。
「ククク——、かかったな馬鹿め……」
神庭海凪が怪しく笑う。こいつ、まさか午後ティーに何か仕込んで——、
「その午後ティーは…………微糖だ」
「でしょうねェ!?」
——前言撤回、こいつガチでなんなんだ。
「ほら、たまにいるではないか。微糖の午後ティー嫌いな奴とか……」
「あぁそう言うアレね……って、どういうアレ!?」
「アレアレうるさいぞ、アレアレ詐欺か?」
「テメーが元凶だろーがァァァ!?」
——だ……駄目だ。こいつと話してるとペースを崩されてばかりだ……
「……結局、何しに来たんだよ?」
もう疲れた……早く帰ってくれ……
「それなのだが、貴様、つかれているぞ?」
——はいはい、主にお前のせいでな……
「もう一度言う、憑かれているぞ、背後霊に……」
——はい?




