第八部 第四章
「……えええ? まさか、まさか、シャルロッテ様が? 」
「内緒にしといてくださいよ? 」
俺が念を押す。
聖女とも呼ばれていたほどの人物だ。
まあ、そう言う博愛主義があったから、<トウルーラブ>の相手をしてくれたのだと思うけど。
それで俺のスキルコミニュケーターでボーっとしている<トウルーラブ>がぼんやりと前に進み出た。
「待て! 今大事な話だ! 」
などと<剣鬼>が<トウルーラブ>を止めた。
守れと命令したので、向こうを進んで攻撃をする事は無いらしい。
まあ、お前の愛を見せてやれと言ったから、どこかで動くと思われたが……。
「なんでだ? なんでこいつかっ! 」
などと<剣鬼>が必死に俺に聞く。
あまり恋愛経験が無いが、どう見ても<トウルーラブ>は下半身に節操がないタイプに見えているので、余計に気になるらしい。
まあイライラしているのはさらにしているようだから、それ自体は歓迎すべき話なのだけど。
「いや、年上の幼馴染だったみたいで、付き合い自体はあったみたいなんだ。ただ男爵家の次男坊ってある意味生きるのが苦しい立場だしね。それで<剣聖>が弟子にしたんで応援していたみたい」
「なんで、シャルロッテ様がそんなに? 」
「どうも、<トウルーラブ>は昔から聞き上手な部分があって、それでシャルロッテ様が言う愚痴を聞いてあげていたらしい。王弟っておっさんでしょ」
「ああ、だいぶ年上だな。シャルロッテ様からすると」
「シャルロッテ様に引っ叩くほど粗暴だったし、好きで結婚するわけでは無いしね」
「粗暴なのは知っていたが、それは知らなかった」
<疾風>さんが驚いた。
「ああ、なるほど貴族同士のしがらみか」
なぜ、お前がそんな風に納得するのか知らんが、<剣鬼>がしきりと頷く。
どうやら、こいつも貴族出身なのかもしれない。
なのかもしれないと言うのは、流石に深いスキルコミニュケーターを使わないと<剣鬼>の心は読めないから、それをするとなると斬って来るだろうし、そんな危険な事は出来ないからだ。
まあ、<疾風>さんも頷いているから、そう言うのは普通に世間では当たり前なのかもしれないが。
「ナカナカムズカシイモノダナ」
などと貴族社会など良く知らないはずのリリーが勿体ぶって頷いていた。
「まあ貴族はそれとして、結局、結ばれはしなかったわけか……。王弟陛下が幽閉されて、シャルロッテ様は僧院に行かれて、俗世を捨てられたわけだからな」
「あ、いや……」
<疾風>さんの言葉に俺が口を濁した。
「は? 」
<疾風>さんの驚いた顔が凄かった。
見たこと無いわ、こんな瞳孔が開いたような顔。
「ど、どどどどどど、どういう事だ? 」
<剣鬼>が動揺していた。
いやいや、すげぇ、心が揺らぐタイプらしい。
剣の鬼とか言われてて、この動揺しやすいのはどうかと思うのだが……。




