第八部 第五章
「いや、まあ、その辺りは個人的な問題になりますし、もうこのくらいで良いでしょ? 」
それで俺が話を続けなかった。
だって、本人がいる前で言う話では無いし。
スキルコミニュケーターのせいでぼんやりしていても、それはそれなのだ。
「言ええええっ! 言うのだっ! 」
<剣鬼>が絶叫する。
凄い聞きたいらしい。
「まあ、個人的な話だもんな」
<疾風>さんはその辺は大人らしくて、その辺りを理解してくれた。
「言えっ! 」
だが、<剣鬼>は納得していない。
これは困ったなと。
「いや、大人の話だし。本人が言っていいと言っているわけでは無いし」
「他言はせぬ。そもそも目の前にいるでは無いか」
などと<剣鬼>が叫ぶ。
だが、スキルコミニュケーターでコントロールしているのは言えないし。
「まあまあ、他人の話だし」
「黙れっ! 言ええっ! 気になって寝れんわっ! 言えっ! 」
<剣鬼>が殺気立ってどうしょうもない。
その震えるような殺気はやはり本物なんだろうけど、そんなに聞きたがるかなぁ。
「ワタシモキキタイ」
などとリリーが言うでは無いか。
「でも、他人の事情を俺が話すのは」
「言えっ! 」
手が剣の柄にかかってカタカタと言っている。
たしか、これは<悲鳴>の記憶を読んだ時にあったな。
<剣鬼>の癖で斬る前にこうやって柄を持った手がカタカタと言わせる癖があったはず。
つまり、<剣鬼>はこれで言わなかったら俺を斬る気なのだ。
困ったな。
その瞬間だ。
間違いない<剣鬼>の殺気に<トウルーラブ>が反応した。
無言で前に進み出た。
「はあああ? 俺にその話を言わせまいとしているのか? 」
などと<剣鬼>がそれじゃない感想をした。
「大丈夫なのか? 」
<疾風>さんも槍をぎゅっと握った。
でも、<剣鬼>には向けない。
槍を向けたら、牽制する間もなく斬られると見ているからだろう。
実際にそれだけの戦闘力の差がある。
世界最強の剣客は嘘では無いのだ。
「いや、俺は戦えって言ってないから……」
そう、俺が話す。
<トウルーラブ>はシャルロッテ様を落とした時に使った憂鬱な気分を吹き飛ばす愛の踊りを、相手を落とそうという、ここぞという時に使うようになった。
それは王弟が嫌で嫌で仕方なくて、シャルロッテ様が結婚式の数日前にあった出来事だ。
塞ぐシャルロッテ様を何とか笑ってもらえるようにやった愛の踊り。
相談男でしか相手を落とせない<トウルーラブ>にとってそれは相手を落とすために使う究極の技。
そんな風にスキルコミニュケーターを使ったのは、その準備をしているのが、<トゥルーラブ>の姿を見て分かったからなのだ。
ぶっちゃけ、リザにはガチだったらしい。




