第八部 第六章
身分の差と高貴さと、そう言われてみれば、その辺りに決定的に違いがあるのだが、確かに、さっきちらっと見たリザはシャルロッテ様に似ていた。
相談男として相手を落とすが、それでも、シャルロッテ様の影を追いかけて、見果てぬ何かを追い続けている。
シャルロッテ様と<トゥルーラブ>が一夜だけ結ばれた後、彼女が<トゥルーラブ>に言うのだ。
私のような存在でなくて、本当に貴方にとって大切で好きな人を探してと。
それで愚直に<トゥルーラブ>は結婚相手を探していたのかもしれない。
それでも、結果的にシャルロッテ様と似た人物を探してしまう。
そう言う意味で全く<剣聖>に愚直に弟子として頑張っていた時と全く変わらないのだ。
それが<トウルーラブ>である。
まあ、そう言う感じで食い捨てられている相談男をされた女性にしたら怒りが止まらないだろう。
こいつ、馬鹿だから、「俺が思ってたのと違う」とか平気で言うみたいだから、そら刺されるわと。
剣が強いから、激怒した相手から矢で背後から射られるわと。
だけど、女性にはシャルロッテ様が酷い目に会っていた経験から、絶対に自分では手をだない。
ぶっちゃけ、王弟陛下はあのシャルロッテ様を引っ叩いたり手を出すタイプだったのだ。
身分の問題があって、シャルロッテ様が抵抗できないのに暴力を振るうと言う最低男だった。
まあ、そんな感じで女なんてって王弟は馬鹿に思ってたので、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に一騎打ちを挑まれて引くに引けずに受けたら、剣で全く歯が立たず、「剣など使うに値しない」とか言われてベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下にボコボコに殴られて右腕をへし折られた挙句、悲鳴を上げて逃げまくるのだから、因果応報ってあるのだと思う。
あのあたりは王弟が女性を小馬鹿にしているのを知っていたから、正面から一騎打ちに持ち込んだベアトリクス・フォン・アレクスト女王の作戦もあるのだろう。
悲鳴を上げて、逃げ惑って自分の安全だけを大事にして部下を捨てて逃げたので、本来なら、あんな小娘が国王になると言うのかと言っていた王弟陛下の傘下の貴族たちがあきれ果てて見捨てたと言うのもあるのだ。
「ナニカ<トゥルーラブ>ニツイテココロデオモウコトガアルナラスナオニハナセ! 」
などと事情を聞きたいリリーが叫ぶ。
「その通りだ! 話せっ! 」
などと<剣鬼>が叫ぶ。
いや、まだ諦めていないのか。
ただ、完全に敵として見る動きと殺意は<トウルーラブ>に向けられた。
どうやら、<剣鬼>自身の鑑定眼でもただならぬ相手だとはっきり理解したようだ。
そうなんだよ。
<トウルーラブ>は間違いなくギルドキングダムの最強の剣客なのだ。
じりじりと<トウルーラブ>が<剣鬼>に近づく。
「……。なんだ? 」
<疾風>さんが気が付いた。
その通りである。
「なんだ、こいつ……」
<疾風>さんが気が付くのだ<剣鬼>が気が付かないはずがない。
「その通り。<トウルーラブ>は戦うつもりで前に出ていない。ただ、愛を見せる為に前に出た。シャルロッテ様を落とした愛の踊りを」
「ふあああ? 」
<剣鬼>が初めて間の抜けた声を出した。
多分、あんたはパニックになっているはずだ。
だって、こんな奴を見たこと無いはずだもの。
そして、<悲鳴>が言う通り、怒りや想定外の事に動揺してしまうのが貴方の剣だ。
「うっ! ドッタントトトンドッタントトンドッタントトン! うっ! 」
<トウルーラブ>両手を背中に回して胸を張った。
それと同時にエリマキトカゲの様に背中にパラシュートみたいな羽根が開く。
そして、その羽根には花火が取り付けられていて、一斉に花火が噴き出した。
「始まったな。<トウルーラブ>の愛のダンスだ」
俺がそう呟いた。
他の皆は固まっていたが。




