第七部 第五章
「<アチアチカップルのアニサキス>! 俺だ親友の<トウルーラブ>だ! 大事な話があるんだよ! 」
などと降りながら<トウルーラブ>が叫んでいる。
いつから俺達は親友になったんだろう。
「三回くらいしか会ったこと無いのになぁ」
思わず呟いてしまう。
「それで親友と言えるところが<トウルーラブ>の真骨頂だな」
三回会っただけで、ちょっとした挨拶とあいつの自慢話をうんうんと聞いただけの関係である。
これで親友なら、知人とか言う枠は無いのかもしれない。
声が近く感じるから、とうとう4階層に降りて来たみたいだ。
「ねえ、リザ。これだけ読んでも来ないって事は<アチアチカップルのアニサキス>はいないんじゃないの? 」
「ヨハンネスさんがいるっと言っているんだから、もう少し声をかけて見て」
「分かった。ヨハンネスさんが言うなら、そうかもしれないね。でもあいつって親友の俺の事を大事にしているから、俺が呼んでたらすぐに来るはずなんだけどな」
などとどうやら、横に女の冒険者がいるらしくて、そいつと大声て話す。
なまじ、<トゥルーラブ>は低音のイケボイスの為にダンジョンに響く響く。
言葉の節々から大げさに言っていると言うよりは、本気でそう思っているようだ。
本当にまごうこと無き馬鹿なんだなと。
無能の味方こそ最大の敵って言うリリーの言葉は事実だなとしみじみ。
この会話で、どういう情報で俺達を探していたかとか。<トウルーラブ>は完全に利用されているだけの馬鹿とか、いろいろな沢山の大事な情報を教えてくれた。
「<アチアチカップルのアニサキス>! 俺だ親友の<トウルーラブ>だ! いるなら声をかけてくれ! 大事な話があるんだよ! 」
などと繰り返す。
「本当の馬鹿だな」
「バカスギル」
などと<疾風>さんだけでなくリリーの吐き捨てるような声が辛い。
「おーい! 上手くすればお前にとっても利点は大きいんだぜ! とんでもなくお偉い海外の大物様がお前に会いたいって言っているんだよ! あの神聖帝国のゼス皇帝だぞ? 」
「ちょっとおぉぉ! それはまだ内緒だって言ったでしょうがっ! 」
「いやいや、正直に言った方が出て来るよ! あいつはそういう奴だからさ! 」
いつから俺はそういう奴になったんだ。
顔が歪む。
「まさか、本当に神聖帝国のゼス皇帝が来ているのか? 」
「アリエナイダロ。ワガクニニユイイツヒッテキスルセカイノダイテイコクノトップダゾ? 」
「和貴なら多分、来るはず。あいつはフットワークだけはどうしょうも無く良いから」
俺がそう答えながらも脂汗が出ていた。
どう考えても世界大戦のフラグにしかなっていない。
なんで、こんな馬鹿な話に巻き込まれるかな。
「なあ、<アチアチカップルのアニサキス>ぅぅぅ! いるなら出て来てくれよ! 大事な話なんだよぉぉぉ! 」
アホが叫び続ける。
だが、アホのおかげでだいぶ情報が分かった。
ヨハンネスとか言う奴も顔を歪ませているだろう。
真面目に、命がかかった状況になって来たのは間違いないという事か?




