第七部 第一章
<.疾風>さんが4階層まで来て、ダンジョンの地面に耳をつけて探っていた。
顔つきが非常にやばそうだ。
「まずいな。中核メンバー15人と荷物係10人の25人かと思ったら、多い。50人くらいいる」
<疾風>さんが呻く。
「ナンデダ? ニモツガカリハ10ニンシカダメダロ? 」
「多分、まれに特例で最初から荷物係を20人とか増やす事が出来る。<トゥルーラブ>が女冒険者をあてがわれて、良い格好して俺ならこういう特例も使えるからってほいほい許可したんだと思う」
<疾風>さんの言葉がきつい。
とりあえず、会った事はあるが、そんな感じのおっさんで……。
結構、馬鹿なのは有名だったので、あり得るとしか言えない。
強いから使うけど、馬鹿だから使いどころが難しいとか言う噂は聞いたことがあるから、どうしょうもない。
「バカナヤツメ。ゼッタイニベアトリクス・フォン・アレクストジョウオウヘイカノブチキレアンケンデハナイテカ」
「ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に殺されるかもしれんのになぁ」
リリーの忌々し気な言葉に<疾風>さんも呆れたように同意した。
「『俺は愛じゃ無きゃ殺せないぜ』とか思ってんじゃないかと……」
俺が<トウルーラブ>が言いそうな言葉を言うと、<疾風>さんだけでなくリリーまで深いため息をついた。
ぶっちゃけ、そんくらい馬鹿なのだ。
なんで馬鹿ばかり集まるんだろう。
そんな風に思ってしまう。
「とりあえず、認識疎外の例の布を持ってきているが、閉鎖された空間だと、難しいと思うがな」
<疾風>さんも何かの時にといろいろと持ってきていたらしいが、ダンジョンなんでいろいろと難しいのだろう。
やはり、外でのすれ違いに近い状態なら認識疎外は効いても、ダンジョン内で相手を追い詰めようと中を索敵しながら入ってくる連中とは勝手が違うのだろう。
そう言う意味では良く分かる。
彼らは俺達を追い詰めに来ているのだ。
「ピジョンバットデソトニレンラクヲトレバイイノデハ? 」
「ピジョンバットは夜しか外に出れないし、出る途中でばれる可能性が高い。一応、宿屋の主人で、一部ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に雇われている特殊な人がいるから、その人に<ワールドハイドゥ>が来て19号ダンジョンに入ったら、アドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵に連絡するようにはしているけど、動くかな? 」
出来ると言う話題のアドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵だが、ライトノベルのギルドキングダムだと意外と融通効かない性格だったんで、どうなのかなと言う不安がある。
「意外と勘で即断即決って言うタイプでは無いからな。あまり期待はしない方が良いかもしれん」
「デモコイツガドウテイステヨウトシタトキハ、ヒッシニウゴイテタゾ」
「そりゃあ、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がブチ切れてたんだろ。怖いから」
あの<疾風>さんですら怖いんだ。
ちょっと憂鬱になって来た。
「今、<ワールドハイドゥ>は二階層のあたりだが、どうする? 」
「四階層の奥で穴を掘って隠れますか? 」
「アマゾネスシキダナ」
などとリリーがウキウキしている。
アマゾネスはゲリラ戦が上手く、トンネルを多用すると言われているからだ。
まあ、俺もそれを思い出して言ったのだが。




