第六部 第十章
静かに気をつけながらどんどんと地下の階層へ降りていく。
合間合間で<疾風>さんが地面に耳をつけて調べるが顔つきが険しい。
「どうですか」
「100人近くいる。こんなダンジョンの中で何をしているのか知らんが、どういう事だ? 」
<疾風>さんが首を傾げた。
「オマエ、アキラメテカエッタホウガヨクナイカ」
リリーも急に弱気な発言が多くなる。
100人は間違いなく手練れだと見て、いくら伝説の冒険者の<疾風>さんと自称アマゾネス最強のリリーでも相当厳しい戦力差だ。
特に、<疾風>さんとリリーは俺の命を絶対守れとベアトリクス・フォン・アレクスト女王とアドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵から厳命されている。
自分だけ逃げきれば良い状態では無いから、それはピリピリするのだろう。
「六階層まで降りて、気配を調べて、それで決めましょう。出来たら、何か地下にいる連中の証拠みたいなものがあれば欲しいのですが……」
「オマエ、ムチャヲイウ」
リリーさんが怒っている。
同じ技量なら一対二でも大変なのだ。
三対百とか無茶苦茶だからだ。
しかし、俺もゴールドサポーターでテンフィンガーとしての仕事がある。
流石に、別に出口があった場合に逃げられて、どんなグループがいたかわかりませんでは終われない。
何らかの証拠を持ち帰らないと……。
「何というか冒険者時代より厳しいな、いろいろと。結構、ゴールドサポーターってトラブル解決とかしていて、ここまで命がけとかは思わなかったな。さらに、テンフィンガーだから、余計に大変なのかもしれないが……」
「コイツイガイトガンコダ。アノトキモドウテイヲツステルナトチュウコクシタトキニ、イエニカエレバヨカッタノニ、イジニナッタバカリニエライトコニイッテ、オオソウドウニナッタ」
「いや、それは悪かったと思っているけどさ」
そうリリーに頭を下げた。
どちらかと言うと、俺は神聖帝国のゼス皇帝が和貴かもれないと言う事実に結構焦っていた。
悪い意味であいつは馬鹿だからだ。
普通、自分の親の仕事関係とか学校の上の関係の女性に三股とかしないし。
そんなのばれたら破滅だからだ。
それなのに、あの馬鹿はした。
破滅願望と言うよりは自分の欲求に忠実なのだろう。
俺と言う名前に気が付いて騒いでいたらしいから、あの馬鹿なら真面目に探しに来るまではしそうだ。
やってもおかしくない奴なのだ。
しかも、変な所で自意識過剰で自分が自ら動く。
だから、ああいう三股やって四股とか馬鹿な事をするし、俺にキレてサクサク刺しに来るし……。
「ここに直接、本人が調べに聞てもおかしくない性格しているんだよなぁ」
つい、思っていることが言葉に出た。
「はあああ? 」
大体の真実を知ってしまった<疾風>さんの顔が歪む。
「ああ、すいません。つい喋っちゃった」
「ここにゼス皇帝自らが来ると言うのか? いやいや、ギルドキングダムも神聖帝国に匹敵する30万近い兵力を持った大国だぞ? 」
「いや、凄い馬鹿なんで……」
「えええ? 」
<疾風>さんの顔が歪む。
最悪、俺は、あいつが仲間とともに、ここにていも不思議じゃないと思っているからなぁ。
「オマエナミノバカダトイウコトカ」
などとリリーが言うのでイラっとした。




