第六部 第八章
で延々とギンダベラ……ヒイラギじゃない、アンダーバットが飛んでくる。
5階層に入ってだいぶ経つのにこれだ。
「キリが無いな」
そう言いつつ、自分は撃退を全くしていない。
やはり伝説の冒険者の<疾風>さんと手練れのアマゾネスで自称最強のリリーの腕がいい。
アンダーバットは次々と地面に転がっていく。
もう一瞬である。
魔石も何も採取しないから手間もかからない。
「それにしても、多いですね。こんなにアンダーバットは出るものなんですか? 」
「んんんんん、多いと思う。経験的にもかなり多い」
「俺は基本的にゴールドサポーターなんで、もっとモンスターの出る、旨味のあるダンジョンでの監視と監督なんで、この手の初心者用のダンジョンは殆ど入った事が無いので良く分からないのですが……。いや、初心者でも、このアンダーバットしか取れないなら入ってこないでしょうし。本当に、多すぎますね」
つまり、手間がかかる割に初心者の冒険者ですら、割に合わないのではないかと思った。
それで、このダンジョンに入っている冒険者が少ないのか……。
魔石が取れなくて肉かまずくて、それなのに意外とスピードは速くて、上級の冒険者でなくては、こんな簡単にはアンダーバットは駆逐は出来ない。
だから、こんな風には初心者の冒険者は撃退が出来ないだろう。
吸血はしてくるし、噛まれると痛いので、本当に嫌われ者である。
そんなのがここまで飛び回るとか、少しおかしい気もした。
「ん? 」
などと<疾風>さんが槍でアンダーバットを槍で突き落として、違和感を感じたらしい。
その刺殺したアンダーバットをしゃがんで見始めた。
「どうしました? 」
「足に金属の輪っかをつけている。……どのアンダーバットも見たら全部がついている」
<疾風>さんが意外な話をし出した。
そう言われて冒険者御用達の薄暗いランタンで照らすと確かに全てのアンダーバットに小さな小さな金属の足輪がついていた。
「え? 」
「槍で金属のような感じが手ごたえであったので気が付いた。魔石も取れないゴミみたいなアンダーバットを落とした後に調べる奴もいないからな……」
大体、殺すだけ殺したら放置が普通である。
魔石が取れないのにわざわざ良く見る奴もいないし。
まるで岸壁に腹立ち紛れで釣り人に捨てられていくヒイラギみたいなものなのだ。
「? という事は? わざとアンダーバットを増やして放されている? 」
「その可能性があるな……」
疾風さんが真顔だ。
そう言えば、19号ダンジョンは最近ゴミモンスターが多くて、冒険者もあまり行かないのに、なんで、<ワールドハイドゥ>みたいなトップ冒険者が入るのかわからないとか言う話はアリアーネ嬢が言っていた。
「やばいな。となると、ここは何かの取引で使われているって事か? 」
「可能性が高いな」
意外と表になっていないが、ダンジョン内でいろいろとやばいものを取引すると言う話は昔からあるにはあるのだ。
「となると」
<疾風>さんが地面に耳をつけた。
こないだみたいに遠くの兵士の動きとかが地面の音とか気配でわかる人である。
<疾風>さんの顔が歪む。
「どうしました? 」
「かなりの数が、ここに潜っている。警備兵が言っていた冒険者の数の数倍はいる。これはどういう事だ? 」
<疾風>さんが呻いた。
あーあーあー、最悪コースかもしんない。




