第六部 第七章
「コンナマックラナバショデナニヲスル」
リリーが4階層に入った途端に騒ぐ。
「いや、だから、<ワールドハイドゥ>が来た時に待ち伏せする為に深い階層に入るんだろ? 」
俺がリリーに説明した。
「アヤシイ」
「あのな……あんな怖いベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に睨まれてんのに、訳の分からんことをするはずないだろうが」
「オトコトイウモノハワカラナイカラ」
いや、俺はお前が分かんないよ。
なんなんだ、こいつ。
などと思いながら、地下へとさらに降りていく。
一瞬にして、<疾風>さんが槍で何度も何度も突きで空間に閃かせた。
それと同時にリリーも鞭のようなもので何度か叩いた。
そこには、地下の洞窟に良くいる、アンダーバットと言う血吸い蝙蝠が<疾風>さんとリリーの攻撃で落ちていた。
意外と30センチくらいはある個体だが、全然強くないし、全然倒しても旨味が無いので有名な雑魚モンスターである。
ピジョンバットとかなら捕まえて生きたまま売ればそこそこ値段がつく。
伝令役に使えるし、便利で頭が良いからだ。
このアンダーバットは違う。
ゴミだ。
何しろ、身体から魔石が取れないのだ。
倒しても売れるところが全く無い。
肉はまずいし最悪である。
釣りで言うなら、ギンダベラとも呼ばれるヒイラギみたいなものか。
釣れても旨味が無いので捨ててしまうようなものである。
「ぐぐぐぐぅぐぐぐぐぅ♪ 魚が引っ張っている♪ ぐぅぐぐぐぅぐぐぐぅぐぐ♪ 上げればギンダベラ♪ 」
などと前世で釣りに行った友達が横で歌ってた歌を思い出す。
海岸で浮き釣りすると引きは良いけど、上げてがっかりするのがこれである。
小骨が多いし表面はヌルヌルするし、近所のスーパーで干してつまみに売ってたのを驚くくらいまずいのだ。
ぶっちゃけ、何度も何度も冒険者が入って大きなものは倒しちゃったから、冒険者が相手にしないようなゴミみたいなモンスターだけはいるのだろう。
それが何度も何度も寄って来るので<疾風>さんとリリーが気にも留めずに次々と倒してほったらかしだ。
アンダーバットは本当に肉はまずいし、魔石は無いのだ。
まあ、そうするよなと納得してしまう。
なので、<ワールドハイドゥ>の中核が入ってくるような美味しい場所じゃ無いんだけどな……。
しみじみとそう思う。
「ホントウニナニモイナイネー」
「もう少し、奥に潜らないとまともなモンスターは出て来ないな」
などとリリーの言葉に<疾風>さんが突っ込んだ。
「まあ、お金になるのは8階層から下くらいに行かないと……」
と言いつつ、別にモンスターを取りに来たわけでは無いので、別にこのあたりでも良いのだけど。
隠れれそうな場所がなぁ。
「6階層くらいで良い場所があったはず。7階層は8階層に行く連中の休憩場に使われるから、その辺りで潜むのが良いと思う」
<疾風>さんが自分の経験から話す。
他の冒険者と会えば、<疾風>さんが有名人過ぎて、目立っても困るし。
まあ、キャンプして明後日あたりに来るのを待ち伏せするだけだからな。
それで、皆で6階層に向って降りて行った。




