第六部 第六章
それで、<疾風>さんとアマゾネスのリリーと地下に降りていく。
正直、地下の三階層まで魔法の照明が充実しているので、我々が隠れるなら、もっと深い地下の階層に行かないといけない。
19号ダンジョンは成立も古いし、昔からいろいろと冒険者も入るから、普通は足元があまりよくないダンジョンの地面もある程度綺麗にされていた。
「ここは相変わらず手が入っているな」
などと<疾風>さんが呟いた。
「確かに、この手のダンジョンにしたら、かなり手の入っている方ですよね」
俺がそう苦笑した。
だって、ダンジョンでモンスターと戦ってってのが仕事なのに、地下3階層まで照明があるとか無茶苦茶である。
明るかったらモンスターも出て来ないし。
まあ、深さは10階層以上あるんだけど、浅い階層のモンスターがほぼいない感じになってしまうし。
そういや、ここは軍の練習場にもなっていたんだっけ?
このギルドキングダムの場合は防衛拠点としてダンジョンを使用する場合もある。
ここは実は、その練習用にいくつかあるダンジョンの一つでもある。
また、ダンジョンでは無いが、似たように作られた地下要塞もあると言う噂だ。
部署が違うので、詳しくは知らないが、高級官僚なんであるのは機密の話で聞いている。
そうしないと避難する時にいきなり言われても困るし。
というか、何だか、俺に軍事指揮の訓練とかをアドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵にベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が言っていると言う話をアリアーネ嬢が言ってたのでビビる。
俺はサポーターとして地味な人生を歩んでアーリーリタイアをして余生は優雅に暮らしたいのだが、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が勇者の特性を全能の力で俺に与えた可能性があり、俺を勇者にする気らしくて、それですら嫌なのに軍事指揮だって?
勘弁してほしい。
騎士階級の時に、どれだけ軍が体育会系か知っているから笑えないんだが……。
前世の叔父みたいに下請けのそこそこ大きい会社から、元請けの大企業に転職したみたいに、散々いびられてた自分が、今後はいびっていた上司達を顎で使う立場になり、送別の日に今後は宜しくお願いしますとか全員が頭を下げてくれるような体質では無いのだ。
本当に馬鹿みたいに脳筋だしさ。
俺は高級官僚になったのに、たまたまギルドキングダムの官庁で会ったら、未だに上から目線でいろいろ言いやがったし。
あいつら、お前らが官庁に来たのは上の命令で顔を出しただけだろうけど、俺は普通にここに部屋もあるんだよ。
あんな奴等の指揮なんかしたくねぇや。
俺の言う事を聞くわけ無いじゃん。
まして、騎士階級を売却したら、騎士の誇りがとかわざわざ家に来て、ぼろ糞に言いやがったし。
そうしなかったら、うちの借金をどうすんだよって、金を立て替えてくれるわけでも無い奴等がよくもまあ偉そうに……。
「わしも横で聞いていたが、軍事関係は関わらない方がいいのではと思うがな。軍関係は結構面倒くさいし」
「知ってますよ。俺も元下層の騎士階級だし」
<疾風>さんが気を使って忠告してくださったから、そう苦笑した。
軍が性に合わないから、冒険者になったのに……。
ちょっとイラっとしながら、ちらっとリリーを見た。
「オマエワタシヲオソウナヨ」
などともっとイラっとする話をしてくる。
本当に何とかならんのかな。
この状況。




