第六部 第五章
結果的に先回りで入るしか無くて、最悪の時は近衛も準備して雪崩れ込むらしいから、安心して欲しいとアリアーネ嬢に言われて、仕方なく<ワールドハイドゥ>の入る19号ダンジョンに1日前に入る。
入る時に申請書を出さないといけないが、ゴールドサポーターとして、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下からいただいた、隠密に特命で動いているのが分かる鑑札を渡す。
これはダンジョンに入る時に使う鑑札だが、サポーターが見せる時は特命の意味合いがある。
一種の合図に使われているような感じだ。
警備兵連中にはそれは徹底されていて、それを特にゴールドサポーターが見せた場合はベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の特命だとわかるようになっている。
これをばらしたダンジョンの警備兵が処刑されたり、本当にあったので、それを見せただけでダンジョンを守っている彼らの緊張感が伝わる。
命令書では、中身が推察されてしまうので、本当はサポーターがしないはずの冒険者だけがする鑑札を見せる行為をそれで符丁にするようになっている。
つまり、ここで何かが起きると言う意味もあるので警備兵の表情が硬い。
ぶっちゃけ、ダンジョンの監視の為に、どの冒険者グループがダンジョンに申請していつ潜ると言うのは冒険者ギルドに申請されているので、まあ、<ワールドハイドゥ>絡みと言うのは警備兵達には分かると思われた。
あまり評判の良くない、ワッセナー商会のさらに評判の悪いらしい冒険者グループである。
先代国王と情報部がと言うより、ディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵が自分の所に所属する冒険者グループを闇鍋みたいにした結果が、そのおびえた警備兵の表情に現れている。
特に、ここはギルドキングダムの王都より離れていて、大規模なダンジョンである。
実際、近衛軍が戦闘隊形で入れるくらいの大きさの19号ダンジョンなので、警備兵も多い。
多分、このダンジョンに<ワールドハイドゥ>が入るだけで何かありそうな気がするし、実際に何かあるのだろう。
アリアーネ嬢の話だと最近、この19号ダンジョンに<ワールドハイドゥ>は良く入るらしい。
これだけ大きなダンジョンだと、新ルートが見つかる場合もあるが、どちらかと言うと、新発見とかは、そんなに出るものでも無いし、何かの取引とかに使っている可能性があるのではと話していたが、それは確かにあり得る話なので笑えない。
神聖帝国にも距離的に近い方と言えば近い方だし、ちょっと不安だ。
その上に、当日に確かめてみたら、殆ど冒険者グループが19号ダンジョンに入っていない。
この大きさのダンジョンでこれは無い。
怪しいまみれである。
「確かに、モンスターとかは相変わらず出て来るダンジョンだが、こんな鄙びた場所だが大きいダンジョンに、あの巨大な冒険者グループの<ワールドハイドゥ>が良く来る理由が分かんないな」
<疾風>さんも訝しげだ。
ギルドキングダムは比較的に次々とダンジョンが現れる国で、他に美味しい新発見に近いダンジョンもあるはずなのに、こんなとこに何度も来ると言うのはおかしいと思うのは当たり前だ。
広いだけが取り柄のダンジョンだし。
実に地下の1階目の階層に降りると、凄い広い空間がある。
こんな場所が地下なのに、あるのだ。
そして、古いダンジョンでもあるので、浅い階層には魔法の照明がついている。
こんな場所で冒険ねぇ。
どっちかってーと、ランクの低い冒険者が来るような場所である。
余計に嫌な予感がした。




