第六部 第二章
「何か、いろいろとやばい話が無かったか? 」
<疾風>さんがアリアーネ嬢に聞いた。
情報部が動いたなら、その情報部の情報の方が情報屋より大きいからだ。
まあ、当たり前だけど。
<疾風>さんも焦るくらいやばい話があったとか話をしていたので、その辺りは俺も知りたい。
「んんんん、ぶっちゃけ。非常に非常にふざけた話ですが……」
アリアーネ嬢が躊躇した後に困った顔で話してきた。
「ふざけた話? 」
あのアリアーネ嬢が言うくらいだから、やばい話なのだろう。
真面目に気が引き締まる思いだ。
「実は、私が貴方に依頼している時に……ですね……」
「俺に依頼している時に? 」
「ディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵から、実は訓練場に怪しい連中が出入りしているらしくて、うちも<祈り(ゲベード)>などに調べさせているのだけれども、手に負えなくなってきたと……」
「は? 」
「え? 」
などと俺と<疾風>さんが唖然。
「これを機会に、アチアチカップルのアニサキスさんに全部調べてもらって、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下のお力でやばいのを排除していただきたいと」
「はあああああああ? いや、そんな事言ったら伯爵位もワッセナー商会も取り上げられるのでは? 」
「あの御仁、相変わらず最悪だな」
「いや、それが、ややこしいんですよ。実はそういう情報を取る為の場にしたのも、そんな感じにさせたのも先代の国王陛下らしくて……うちの情報部からもお願いが来ていて……」
「えええええ? ワッセナー商会って情報部案件なの? 」
「そうらしいです。それで、いろいろと先代国王が約束した正式な許可証とかもあってですね。流石に罰するのは無理かなと……ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下も頭を抱えていらっしゃって……」
「あそこが無茶苦茶なのは、そう言う経緯があったのか……」
<疾風>さんが呻く。
「いや、多分、ディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵も悪いんですけどね。あの人、そう言う鉄火場から利益を抜くのが上手いでしょ。だから、ドンドンほったらかしに大きくして、機を見るに敏で儲けを生み出していたんだけど、段々コントロールが効かなくなってきたので、この辺で一気に綺麗にしたいと……」
「一気に綺麗にしたいって……俺に調べろってか? 」
「いや、だから、情報部でも調べているみたいだけど、すでに三人ほど行方不明になっているそうで……」
「俺が死ぬじゃん! 」
「だから、死なないで欲しいんですが……私達も殺されちゃうし……。それで、ちょうど<疾風>さんもいらっしゃっているし、貴方の護衛でつけて良いそうですし」
「いやいや、情報部すら人が亡くなるんだろ? 」
「そ、それでですね。アマゾネスも付けます」
「は? 」
そうしたら、背後に「ドウテイデイナサイ」と言ったアマゾネスが立っていた。
「アマゾネスのリリーさんです」
「リリーさん」
「リリー……」
俺と<疾風>さんがあまりに意外な名前なんで絶句した。
「ナマエ二モンクアルカ」
そうしたら不貞腐れたようにリリーさんが言い返してきた。
おいおいおいぃぃぃ、不安要素しか無いじゃんか。




