第五部 第三章
などと思っていたら、アリアーネ嬢が下手糞な咳をした。
何事かと思ったら、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が俺をじっと見ている。
顔が微妙に不機嫌だ。
そういや、察するのが早いとか言ってたな。
俺がベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下を怖がっていると知られるとまずいのか。
「ああ、ええと。なら、私のスキルコミニュケーターで一発で調べれますけど」
などと場を誤魔化すために自分のスキルを言ってしまう。
しまったぁぁぁぁぁ!
これ、言ったら駄目な奴だ。
言ったら、自分が精神コントロールとか相手の心を読めるってばれてましう。
「過去に会った事を読み取れるとか」
「らしいですな。ある程度相手の心を読めるとか」
「ふああっ? 」
なぜか、ディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵とベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が俺の能力を知っている。
なぜ?
俺の能力は報告書から推察できるかもしれないけど、明確には書いて無いんだけど。
「なんで、知っているか? って言いたいの? 報告書を読んだら推測できるでしょ? 」
「私もそれです。どう見ても過去にあった話を見れるとしか思えない事を書いてますからね」
「げぇぇぇぇ! 」
俺の衝撃が止まらない。
「え? そうなのか? 」
「多分。報告書とか見るとたまに、ここまでわかるのか? とかそう言うふうに普通には考えられない事も書いてあったりしますから。相手の自白でも無いと分からない話とか」
「知らなかった」
「兄さんも報告書を読んでるでしょ? 」
「いや、そんな特異なスキルがあるとは……」
アドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵がアリアーネ嬢にやり込められている。
そういや、アドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵は忠誠心は高いし凄く強いけど、ちょっと抜けている性格だったな。
ライトノベルのギルドキングダムの話の中でだが。
それを、ふと思い出す。
「では、彼と面談させてみましょうか? 」
「いや、それだとアチアチカップルのアニサキスってバレバレなんで、まずは<ワールハイドゥ>のたまり場とかそう言うとこに行きましょう。単なるサポーターとして近くに行って、隙を見て調べてみます」
「そうね。相手の周りに別の監視がいると厄介だし」
俺の提案にベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が了承してくれた。
これで、とりあえず、密偵が本当なら神聖帝国が何を考えているかとかまでは分かりそう。
「あ、それと、もう一つのスキルの兆候はある? 」
「は? 」
ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の突っ込みに焦った。
「わかるでしょ? 」
「いや、それは……無いけど……」
脂汗が出る。
まずい。
マジで俺があの主人公の役柄なんだ。
多分、この世界を作ったのは俺は進藤結衣だと思っているので、恐らく間違いなく俺が光の属性を持っていると思われる。
これはこの世界にもある伝説の勇者のスキルだ。
これがあるから、主人公は女王陛下と結婚できる資格を持つのだ。
こんなやばい話を知られたら、マジでやばい。
逃げれないじゃん。
無理かもしれないとは思っているけど。
ふと見たら、じっと俺の心を覗き込むようにベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が見ていた。
脂汗が止まりません。




