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第四部 第十四章

「陛下っ! やめてください! 陛下! ディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵は我々を最初から支持してくれていた、いわば功臣です! こんな所で彼を失っては! この国の言わば経済と言う大動脈を抑えるワッセナー商会の重鎮ですぞ! 」


 アドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵が部屋に飛び込んできて、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に必死で言上した。


「黙れ! こ奴は臣下としてあるまじき行為をした! 」


 凄まじい雷撃のような一言でベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が叫ぶ。


 雷撃のベアトリクスとか言うあだ名が嘘では無いのが分かる。


 ビリビリと部屋が振動した。


 あの<疾風>さんも<祈り(ゲベード)>もビビりまくっていた。


 何よりもベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の異能を初めてみたのか、あの不敵なディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵がビビりまくっていた。


 そして、俺もビビりまくっていた。


 だって、人間の域じゃないもの。 


 スキルとか特殊能力でって感じじゃないのは、全員の顔で分かる。


 間違いなしに、これは異能過ぎる力だと思う。


「態度が悪かったと言われれば、それは私の性格であります。私はベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の為に一番最初に王弟陛下や公爵家を無視してベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の元に参じました。それなのに、私は陛下の執政に参加出来ません。私の性格が悪いので仕方ないと我慢しておりましたが、軍隊を出すならば、せめて相談をしていただきたかった。あの日の軍事作戦で、近隣諸国は急激に警戒を深めております」


 などと非常に正しい話をディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵が跪いて必死だ。


「黙れ! 」


 だが、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下は止まらない。


 これはまずいな。


 俺がベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の警告を無視して童貞を捨てようとしたのが一番の理由だから、そう言われると、この件でギルドキングダムと近隣諸国の戦争が起きたら非常に申し訳ない。


 後世にこれがきっかけで戦争になって、アチアチカップルのアニサキスの童貞戦争とか名がついたら、死ぬに死ねん。


「ただでさぇ、異常に強力な軍隊を組織しているから、近隣諸国はギルドキングダムへの警戒をさらに強めております。この情勢下であれだけの軍隊を動かせばどうなるかは必定。もし、何かあるのであれば、私も財界やいろんな伝手があります。それゆえ、私に相談していただければよかったのです。そのように何度も申し立てしていたではありませんか? 」


 うーむ。


 これは、態度は悪いけど、ディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵の方が正しいな。


 えええと、仕方ない。


「つまり、彼が貴方の物語にいなかったからだろ? 」


「は? 」


 俺が突然声をかけたので、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が少し驚く。


 アドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵は一瞬俺が女王陛下に無礼なと言う顔を見せるが黙った。


「でも、それで警戒する気持ちは分かるが、NPCの中から信頼できる存在が出ることもある」


 ゲームの話でも盛り上がってた事があったので、進藤結衣にだけ分かるように話す。


「……なるほど」


「そこはそう言う存在なのだと思ったらよいのではと……」


 皆は怪訝な顔をしていたが、唯一、進藤結衣であったベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が理解してくれた。


「なるほどな……。そう言う事であれば、私の不明であった。許してほしい」


 即座に理解して自分の方向を変更できる。


 特に、すぐに間違えていたと思えば謝れる。


 ここは、進藤結衣と同じだ。


 ちょっとベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が昔の進藤結衣と重なって見えて、少しほっとした。

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