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第四部 第十一章

 進藤結衣が警戒しているという事は、やはり警戒すべき相手なのだろう。


 しかも、どう見ても普通の人物ではない。


 ぶっちゃけ、進藤結衣の書いたライトノベルに出てくるような単純明快なキャラクターではなさそうなかんじだ。


 清濁併せ呑むと言う政治家の素養すら感じる。


 しかも、財力もあるし、厄介だ。


 そう考えると身近に置きたくないというベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の気持ちも分かる。


 俺も同じように警戒しようと思った。


 現状、アチアチカップルのアニサキスだと、ある程度バレてしまった以上超えてはいけない一線で止めないと。


 すでに俺の捜索で独断で軍隊を動かした以上、隠すも何も無いのだが、それ以上にさらに俺がべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の弱みだとバレてはまずい。


 俺が自然な流れで紙を渡した。


「これを……」


 そうアリアーネ嬢に渡す。


 アリアーネ嬢なら何を意味するか分かるはず。


 それはピジョンバットの足につけるために作られた連絡の符丁の一つ。


 一応、ピジョンバットを使ってべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下と連絡する仕組みがあるので、それを使った。


 それはこちらに来てはいけないと言う符丁の紙だ。


 何らかの事件に巻き込まれて、相手が待ち伏せしている時などに使う珍しい奴だ。


 アリアーネ嬢なら即座に意味が分かるはず。


 まさかと思うが、今回の一件でべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がここに乗り込んでこられたらまずいので出した。


 まあ、まさか来ないと思うのだが、来たらまずい。


 それだけ、俺にとってもべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下とっての弱みがこういう恐ろしいのに知られても困るのだ。


 俺の自意識過剰だったらさらに困るけど。


 とにかく、俺を探すのにギルドキングダムの全軍を動かしてるからなぁ。


「すいません。後で参りますので、先に喫茶店の奥の貴族用の個室に御案内してください」


 そうアリアーネ嬢が喫茶店のメイドさんに指示を出した。


 それを楽しそうにディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵が見ている。


 いやぁ、この人、絶対に楽しんでいるよね。


 絶対に。


 そう思ってたら、俺とディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵の目が合った。


「いろいろと大変ですな」


 そうディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵が楽しそうだ。


 いやいや、何なんだろうな。


 そうして、メイドさんの丁寧な接客で奥の個室へ入る。


 ここは分厚い樫の木と鉄板がはめ込まれていて空気の層も間に入れて、外に声が漏れないようにもなっていた。


 本来なら護衛のはずの<祈り(ゲベード)>さんか<疾風>さんが先に入って中を確認するのだが、二人とも睨み合ってて動かない。


 すでに、双方にらみ合いと言う異様な戦いがここで起こっていた。


 さらに、俺とディーデリック・カスペル・ワッセナー伯爵が喫茶店に入ってきたので、パウルさんとアンナさんが凄い顔をしていた。


 父親のルッテン伯爵と同じ伯爵なのだが、例に漏れず大体の貴族の家は借金がある。


 べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下になって収入は増えても体面の為にいるものはいるのだ。


 で、ワッセナー商会はそういう時に金を借りに行く場所なので、爵位関係なしに頭が上がらないと言う恐ろしい状況があった。


 で、パウルさんの様子を見るとルッテン伯爵家も相当にワッセナー商会にお金を借りてんだなと思うくらいパニクっていた。



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