第四部 第三章
「いやいや、いくら何でもサポーター自体が冒険者のサポーターなのにサポーターのサポーターはまずいでしょ」
そう俺が突っ込んだ。
サポーターにサポーターがつくとかちょっとおかしいし。
それと恩義がある<疾風>さんだけでも逃がしてあげたかった。
「いや、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下のご命令です。逆らえるものなどいません」
「いや贔屓が過ぎると言われないかな? 」
「いえ、こないだゴールドサポーターでもあった<トゥルーラブ>が矢で殺されかけた事件に対しての措置としてゴールドサポーターだけには護衛みたいに一流の冒険者がつくことになりました。だから、貴方だけではないですから」
「なるほど……でも、それだと護衛がついたのは、テンフィンガーってもろバレでは? 」
「それでも、人材を減らすわけにはいきません。って言うか、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の直々の命令ですんで、どうしょうも無いでしょう? 」
などと誰も逆らえないと言う現実を淡々と説明してくる。
確かにそうかもしれない。
俺の護衛をさせるために、表向きには別の事件を持ち出して、護衛を正当化させたわけか。
さすがベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下という事だろうけど、進藤結衣の時はそんな感じが無かったのにな。
「だけど、<疾風>さんがと言うのは……すでに引退している人なのに……」
「もう、<疾風>さんはベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下を裏切れませんよ。何であの年であの人が高級娼館で働いてたんだと思います? 」
「え? 」
「年の離れた妹さんがいて、その子が病気なんです。その治療にお金がかかって、それで働いてたんですよ。それでベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がさらに最高級の王国の病院での治療と費用の全額負担を申し出ました」
「それは……」
俺が言葉を飲んだ。
そして、アリアーネ嬢はそれをすぐに察して頷いた。
つまり、妹さんは<疾風>さんへの人質と言う事だ。
俺達が転生者だと言う事を知ってしまったのだし、何らかの措置はすると思ったが、妹を善意の形で面倒を見る事で囲い込んでしまった。
恐ろしいまでの冴えだ。
さらに、俺の周りにいる、見た事も聞いた事も無い普通の人間の仮面を被った暗殺者集団。
全く、これでは俺の知る進藤結衣では無かった。
あの子は地味でオタクで物静かで、推しの漫画のキャラクターを熱く語る子だったはずだ。
こんな計略を張り巡らせる子では無かったはずだ。
とすると間違いない。
間違いなく原因は俺か。
俺が目の前で刺されて死んだ事が彼女に何らかのトラウマを与えたかして、強大な怪物を生み出してしまったのか。
震えるとともに凄く自分の責任を深く感じた。
ふと視線を感じて顔を上げると、アンナさんとパウルさんが腕を組んで喫茶店に入ってきた。
アンナさんが俺を憎悪の目で見ている。
「え? 」
俺が驚いた。
「ロザンネさん。ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下のお気に入りだったけど、誰かさんみたいにお腹をサクサク刺したんで不興を買って追放されました」
アリアーネ嬢が無表情に話す。
「ええ? 」
俺がそれを聞いてさらに震えた。
それほどまでにとは……。
きっと、あの和貴の事を思い出してしまったのだろう。




