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第三部 第十四話

 それから、俺をアリアーネ嬢とヘールツ伯爵が俺を衝立の裏から引きずるようにべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の前に置いた。


「彼を手荒に扱わないで! 」


 べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がそう厳しく話すとアリアーネ嬢とヘールツ伯爵だけでなく、そこにいる全ての人間がびくっとした。


「それと、あまり彼と親密そうにしないで! 」


 それをべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がアリアーネ嬢に追加で話す。


 声が本当にキレている。


 いや、殺気が籠っていると言うべきか。


 これは殺されるとか言う話は本当なんだ。


 アリアーネ嬢がそれで、さらにびくりとした。


 俺がスキルコミニュケーターを使ったわけでは無いが、普段から使っているせいでたまにさらっと発動するときがあるが、それで見たらベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がアリアーネ嬢に激しく嫉妬していた。


 え?


 どういう事?


「ちゃんと私から話します」


 そしてべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が静かに宣言した。


「あ、はい……すいません」


 俺が恐縮した形で頭を下げた。


 心臓がバクバク言っている。


「貴方が大学に入った時に、合宿になった時に同じグループに私はいたんだけど……」


「あああっ! 」


 そこまで言われて気が付いた。


 チャラい奴ばかりのグループだったが、そこに俺と同じ少しオタクが入った眼鏡の地味な女の子がいた。


 俺はチャラい奴らの話はうんうんと聞いていたが、あまり会話が出来なかったので、その子と良く話をしていたのだ。


「思い出した? 」


「いや、あまりにも姿が変わっているので驚いた」


 そう俺が騒いだ。


 眼鏡の地味な女の子と、ゴージャスを絵に描いた超美人のべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下では同じとは思わない。

 

 これは分かる方が無理だ。

 

 名前を忘れてた、俺が悪いのだが……。


「それで、貴方は女の子の話ばかりしている人達についていけなくて、別のグループの方へ移ったわよね。私はそれが寂しかったけど、そうしたら、あの変態男が貴方が新しく入ったグループの女の子に手を出しまくって……それを貴方は何とかしようとしていた。それで危ないと思ったの。あの変態男は自意識過剰で女の子を平気でグーパンで殴れる糞野郎だったから」


「ええ? 」


 和貴(かずき)がそんなに暴力男とは知らなんだ。


 だが、言われて見ればそういう雰囲気があったかも。


 意外と暴力的な奴だったのを今になって思い出した。


「私は何かあの変態男がやらかすと思って、あの変態男が貴方を罵りながら学内を走りまわっている時に追いかけたの。そうしたら、あの変態野郎は貴方をナイフで滅多刺しにした」


 そうべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が憤怒の表情を浮かべた。


 そのせいで、まわりのアリアーネ嬢とかが震えまくってた。

 

 それは巨大なモンスターですらビビる憤怒だった。

 

 そして、部屋が揺れる。


 ひよっとしたら、城も揺れているかもしれない。


 なんで、地震が? 


 地震なんて無い土地のはずだが……。

 

 それはベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の憤怒に呼応するように起きていた。 


 ええええ?


 だが、それよりもあの場に彼女がいた事の驚きの方が勝った。


「あの時にあの場に居たんだ? 」


 俺が驚いて敬語を忘れて聞いてしまった。


「ええ、倒れていく貴方を支えたのが私。そして、貴方が刺し傷の出血で血まみれになる中で支え続けたの……」


 そうべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が信じられない事を言った。


 あの時に誰かに抱えられていたような気がしたのは彼女だったのだ。


 それは信じられない話だった。


 



 


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