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第三部 第十一話

 闇に紛れて、<疾風>さんと一緒にギルドキングダムの首都の城壁の冒険者用の出入り口の小さな門からそっと入れさせてもらう。


 俺が誰かばれそうなゴールドサポーターの金の腕輪は外して、ちょっと高そうな服とか脱いで雰囲気を変えて、<疾風>さんの部下の冒険者を装っていた。


 何らかの賄賂とかの見返りとか、もしくは俺達への調査とかあるかと思ってたら、あっさり<疾風>さんの顔パスであった。


 本当にビビりまくっていたから拍子抜けしたが、逆にこういう時は危ない。


 俺もさらなる警戒をしながら街に入った。


 それは<疾風>さんも同じだ。


 官舎が立ち並ぶ方へ向かう。


 すでに、夜はしらじらと明けていた。


 歓楽街の方も静かだった。


 近衛軍の気配が<疾風>さんによるとあるらしいから、包囲されてあちこちが捜索されているのだろう。


 <疾風>さんが何度も地面に耳を付けた。


 多分、人がいなさすぎるので、戒厳令に近い状態になっているのだとは思われたが、それにしてはあまりにも楽に首都に入れすぎたのだ。


「おかしい」


 そう何度も<疾風>さんが呟いた。


「やはりですか? 」


 俺もそう感じていた。


 罠じゃないのかと。


「やっぱり、流石だ! べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下だ! やられましたわ! 」


 そうあっさりと<疾風>さんが槍を捨てた。


 俺はすぐさま、その場で五体投地を始めた。

 

 いや、通じるかどうかわかんないんだけど、パニックっていただけだが。


 目の前に魔法のライトが次々とつけられて、その目の前に信じられない事に、着任の時に一度だけ会った事があるべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が立っていた。


 しかも、腕を組んで御立腹である。

  

 その一睨みは流石、雷撃のベアトリクスと呼ばれる訳である。


 左右にはアリアーネ嬢とよく似た近衛の甲冑を付けた将軍がアリアーネ嬢とよく似た顔で二人とも鳥が締められたような顔で立っている。


 恐らく、これがアドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵なのだろう。


 せっかくの美形が台無しだ。


 台無しにしたの俺だけど。


 横にはあの警告して来たアマゾネスもいた。


 すでに、何らかの制裁を受けているらしくて、顔が風船のように腫れていた。

 

 どひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! である。


 マジかよ! 


 それだけでなく、近衛の凄腕の手練れとアマゾネスの中核の連中も俺達を取り囲んでいた。

 

 少数精鋭でどれも手練れなのが分かる。


 <疾風>さんは剣も目の前に置いて、すぐにベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に最高位の礼を跪いてした。


 俺はパニクって横でずっと五体投地をしていたが……。


 五体投地とは仏教徒が行う最高の敬礼法で両ひざ・両ひじを地に着けて伏し、さらに合掌して頭を地につける事だ。


 仏のおみ足が俺の両手に乗っても良いように、そのように捧げるように拝するようにするのだ。


 良く考えたら、何やってるかこちらの世界の人間にはわからないだろうから、意味も無いし、それを見て何やってんだ、こいつと言う感じで、アリアーネ嬢とヘールツ伯爵がさらに凄い顔してたが。


 馬鹿にしてると取られたのだろうか。


 それでも焦りながらも、さらにパニクって俺は五体投地を続けていた。


「五体投地はいいから」


 そしたら、何故かべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がそう苦笑した。


 何故か、こちらの人間が知るはずがない五体投地と言う言葉を使って。


 え?


 どういう事? 



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