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第三部 第二話

 良く分からない警告をアマゾネスから受けた。

 

 だが、そうはいかない。


 滾る男の魂がそう叫ぶ。


 俺の出来る限りの、相手を索敵する感覚で先ほどのアマゾネスがちゃんと帰ったのを確認した。


 別に、警告だけしたらあちらも安心するだろうし。


 いくらベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の直属のアマゾネスとは言え、そして同じく直属のテンフィンガーとは言え、しがない部下である俺の下半身の管理などベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下がしないはず。


 アリアーネ嬢がベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が俺に執着しているとか奇妙な話をしていたが、そんなはずはあり得ない。


 だって、着任の時に1回会ったきりだし。


 執着しているなら、もっと接触があるはず。


 前世のチャラい奴等の方程式でもそうなっている。


 相手が執着したり好意をこちらに持ったら、向こうの態度がガラリと変わると。


 だから理由をつけてベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が俺を呼んで会ったりするはずなのだ。


 そう考えれば、どう考えてもあり得ない話だ。


 先ほどのアマゾネスは誰かと間違えたのだろう。


 暗殺集団のはずのアマゾネスが、下半身管理をしているとは知らなかったが……。


 もう、俺の心は最高級娼館の受付で一番高級な娼婦をとお願いする気満々だ。


 チップを思いっきり弾むのがコツらしい。


 そして、ちらりと見せる為に俺がゴールドクラスのサポーターである証の金の細い腕輪を付けていた。


 ダンジョンに入るときに兵士に見せたり、ギルドとかで話し合いの時に、役人

にちらりと見せて自分の地位が誰かをわからせる為のそれを受付でチップをはずみながら見せるのだ。


 普段の時にゴールドクラスのサポーターでそれをつけてる奴はあまりいないのだけど、それをする事で最高級娼館の人間は間違いなく、俺を上客だと理解する。


 何しろ、ゴールドクラスは滅多にいない高級官僚だ。


 かって、ノーパン喫茶に行ってた昔の大蔵省の役人みたいに上客扱いしてくれるはず(昔々の話らしいが)なのだ。


 40年の童貞の歴史は長すぎたのだ。


 今更、最高級娼館に行くのは諦められない。


 そういう感じで俺が王都の東側にある歓楽街に向かう。


 この歓楽街の奥まったところに目指す、最高級娼館の秋月(しゅうげつ)がある。


 なんでも、ギルドキングダムでの最高のサービスを受けれるらしい。


 俺は用心に誰にもつけられないようにと気配をなるたけ消して、そこへ向かった。


 そして、夜なのに明るい光が差し込み美しい女性が大きな窓からこちらに声をかけてくる歓楽街が遠くに見えてきた。


 よしよし、いよいよだ。


 長い孤独な前世と合わせて40年の歴史が俺に涙を滲ませさせる。


 やはり長すぎたのだ。


「ナゼヤクソクヲマモラナイ! 」


 その時だった。


 いきなり俺の肩をポンと叩かれて、そこにさっき警告してきた、巨躯の筋肉隆々の美しい暗殺部隊のアマゾネスがいた。


 馬鹿なっ!


 俺は完全に気配を消していたはず。


 考えられない。


 だが、上には上がいると言う事なのかっ!


「オマエ、ドウテイノママデイレバ、マホウツカイニナレル」


 そうそのアマゾネスは熱く語った。


 そうしたら、歓楽街に向かう人々から哄笑が起きた。


 こんな場所で良いおっさんが童貞とか言われたら、そりゃそうだよな。


 この世界だと20歳を超えたら童貞は珍しいんだよ!


 涙が出そう。


 しかも、魔法使いだと?


 誰だよ、前世みたいな事言ってるのは。


「スキルコミニュケーター、その話は分かったから家に帰りましょう! 」


 俺が全開のスキルコミニュケーターを使って、アマゾネスに信じさせて騙す。


 畜生!

 

 こうなったら、何が何でも今日で童貞は終わりにしてやる!


 この騎士階級末席から冒険者になり、いまや若くしてゴールドクラスのサポーターになった俺を舐めるなよ。


 こんな俺でもプライドはあるんじゃあああ!


「ヨシ、ワカッタカ」


 そうアマゾネスさんは俺の言葉を信じて満足そうに帰っていく。


 ふふふふ、スキルコミニュケーターを舐めるんじゃない。


 相手が殺気立ってたり、憎悪の塊にでもならない限りは、どうでも良い事は確実に騙せるのだ。


 そして、俺の初体験はあんたにとってはどうでも良い事でも俺にとっては大きいんだよ。


 俺がさらに、歓楽街に入りこんだ。


 その時には俺はすっかり意地になっていたのだ。





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