第三部 第一話
アリアーネ嬢に軽蔑されたものの、俺は今回の事で本当に自分が前世と合わせて童貞が40年近くなるの事をしみじみと考える。
このままでは魔法使いになってしまう。
あれは童貞で30歳過ぎたらだったかな?
ギルド本部でなんでこうなったかのパウルさんの騒動の事情聴取をギルドの最高幹部より受けてから家に戻った。
まあ、俺の家はサポート役の官舎だが、俺はゴールドクラスの高官にあたるのでかなり大きい。
一人身なのに部屋は十以上もある。
結婚したら、ここで家族をと最初は思ったが、今では薄気味悪いだけだ。
仕方ないので、入り口の広間と隣の部屋だけ使っていた。
まあ、近衛の警護が見回りをしたりしてセキリュテイが良いので、そういう意味では満足なのだが。
「とにかく、経験は経験だな」
俺はアリアーネ嬢に軽蔑されたもののそういうのに行ってみようと思っていた。
恋愛相談とかまで受けてて、いつまでも童貞とか言うのも変だし。
そろそろ良かろう。
まあ卒業しても素人童貞のままだけどさ。
などと思っていた。
俺がそういうとこに行かなかったのは、実は大学の先輩の叔父が日本でその手の屈指の場所にそういう店を持つオーナーで、実は普通にヤバい病気とか出ると言う現実を聞いてしまったのが大きいのだ。
ちゃんと検査してるので大丈夫とか言う、お客さんの待合室に堂々と貼りだされた御嬢様達のそれぞれの診断書は、仲のいい医者に診察もしてなのに、ただ机の上で書いて貰ったものだと聞いてたからだ。
だが、べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が即位してそういう所はいろいろと検査とかしっかりしてて、随分と安全になったと聞いた。
特に高級娼婦とかはまずそう言うのが無いようになっていると言う話だ。
逆にきっちりと国から手を入れてもらった方が安全度は増すのだ。
俺にとってお金はまれに美味いものを食べるくらいで、全然、使ってなかったから相当な貯金があった。
ここは前世から続く童貞をいよいよ捨てる日になるかなどと思ってワクワクしていたのも確かだ。
そして、夕方になり、あたりが暗くなりだして、そう言う所に行こうと思った時の出来事だった。
俺はウキウキと服をこざっぱりと綺麗にしたものにして、湯を浴びて身体を先に綺麗にしておいて準備万端だった。
実はすでにそれとなく作法と言うかそういうのも調べていた。
金はたっぷりと金貨で用意した。
歯を綺麗に専用のブラシで磨いて、口を濯いで、鏡を見てにんまりと笑った。
その時、突然に先の曲がった刀が俺の背後からスカッと横の壁に刺さった。
前世の世界で言うククリ刀みたいなものがそこに刺さっていた。
そして、後ろを振り返ると巨躯の筋肉隆々の美しい女性が音も無く、そこに立っていた。
彼女は身体は少し浅黒く異様な雰囲気を漂わせていた。
「誰です? 」
俺がそう聞くと、にっと笑った。
「オンナアソビダメ」
そうその巨躯の筋肉隆々の美しい女性はカタコトで答えた。
なぜ、カタコトと思ったが、実は分かっていた。
べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の直属の配下で最強の暗殺部門のアマゾネスの外人部隊だ。
べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下はそういう恐ろしい連中も側近に組み込んでいた。
女だてらで若いのに、誰もがあのべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に一目置くのはそういう恐ろしい背景があるのだ。
俺が息を飲んで見守っていた。
何か俺がベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に不興を買ったのか?
今日の事件で?
「ドウテイデイナサイ」
その暗殺部門のアマゾネスはそう言うとにっこり笑って去っていった。
いや、本当に帰っちゃったけど。
ええ?
それがメッセージ?
なんだ、これ?
訳がわかなんないや。




