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第二部 第四話

「いや、俺、病気って事にしてください。だから、別の人に変わっていただくと。なじみの病院がありますので、そこで入院という形で時間を潰しますので……」


 俺がうんざりして、そう告げた。


「病院まで行くかもしれないですよ<ラピスラズリ>のグループが……」


 アリアーネ嬢がとんでもない事を言った。


「いや、なんで? なんでそんな話に? 」


「ルッテン伯爵はサポーター制度に深く関わってますし」


「いやいや、公私混同でしょ」


「世の中ってそう言うもんじゃないですか? 」


「どんな理屈ですか」


「現実ですよ」


 アリアーネ嬢が押し切ってきた。


 くくくっ、小役人の俺としたら逆らえないでは無いか。


 持つべきは地位という事か?


 騎士の末席ではそれもままならないのだが……。


「いや、そんな重要人物に関係する人に、私が変な助言して無茶苦茶になったら、私のサポーターとしての人生は終わるじゃないですか。それに、命まで危なくなったらどうするんですか? 実家は貴族じゃないし、所詮、騎士階級の末席ですよ。庶民と変わりませんよ。そんな私がトラブルになったらどうするんですか? 私の命の保障はギルドがしてくれるんですか? ルッテン伯爵って結構権力ありますよね……」


「いや、でも、最初からの名指しですし、それで何かあっても文句は言わないとパウルさんに確約を貰ってます」


「いやいや、父親のルッテン伯爵の方はどうするんですか? 子供が許しても父親が許さないってあるじゃないですか? 」


「ぶっちゃけ、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が貴方を守るでしょ」


「はあ? なんでそんなこと言えるんですか? 私、テンフィンガーに決まった時しかお会いしてないんですよ? しかも、騎士階級の末席の吹けば飛ぶような地位ですし」


「いや、本当にベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下と関係ないんですか? 」


「だから、無いと言ってるじゃないですか」


 俺がうんざりするように答えた。


「いや、本当にそうなんですか? 陛下の貴方に対する執着って凄いんですけど」


「何、それ? 」


 俺、ドン引き。


 前世を含めて童貞どころか、女性と恋愛関係すら無いのに。


「多分、ルッテン伯爵が何かやってきたら、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下は戦争になっても貴方を守ると思いますよ」


「えええ? 」


 俺がさらにドン引き。


「いや、だから、逆に言うと貴方しか頼めないんですよ。貴方なら間違いなくベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下は守りますし、裏を返せばルッテン伯爵が怒ってもギルドに問題は起きませんし」


「えええええ? 」


 ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の良く分からないけど俺に対する執着をギルド組織を守るのに使うと言う事かよ。


 この子、絶対に根性が悪いよな。


「いや、仕方ないですよ」


「俺、何も言ってませんよね」


「目が私の悪口を思ってそうな顔をしてましたから」


 スキルコミニュケーターかよ。


「いや、貴方の様な特殊なスキルは持ってません」


「いや、マジで心を読まれてるみたいで怖いんですけど」


 俺が逆に怖くなって愚痴った。


 アリアーネ嬢は仕事が出来るけど油断がならないのだ。

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