第九部 第五章
「ここはあいつの書いたギルドキングダムの世界だろ? 」
「えええええええええええええええええええええ? 」
俺が我慢できずに叫んでしまう。
「はははははははははは、何でギルドキングダムのライトノベルを知っているのかと思っているな。簡単だ。俺もなろう小説を書いていたんだ。カク〇ムと小説家にな〇うでな」
「ひょえぇぇぇええええええええええええええええええええ! 」
いきなり、しょぼい話になってびっくり。
神聖皇帝のインパクトが台無し。
「ええええええ? そんな素振りがあったっけ? 」
「ふふふふふふふふふふ、賞を取っていたら……。本を出版していたら、その事を皆に言ったろうな。だが、そういう実績が無い以上、普通の奴からは単なる夢見るオタクになってしまう」
「いや、別に良いのでは? 」
それは偏見じゃないか?
などと思うが……。
「女の子にモテようとしている俺からすれば、『俺、なろうを書いてます』とか言ってたら、絶対に女の子から距離を置かれるだろ? 小説を書くのが好きってオタク的なイメージだけでなく、最近は生活が苦しかったり、いろいろいと仕事を辞めたかったり、その契機になればとか言う山師イメージすら出てきてしまっている。こんな奴を女の子が彼氏にすると思う? 」
「いや、どう思うって言うか、別に……良いんじゃね? 人それぞれ好きなものはあるし」
「だから、お前はモテ無いんだよ」
「うぐっ……」
そう言われて涙が滲む。
「もう、死ぬときに呟いた言葉をコードネームにした時点で椎原要に間違いないなと思ったしな! アニサキスなんて、この世界にはいないし! そして、この間の童貞を捨てようとして、最高級娼館の秋月を目指したときに、はっきりと理解した! こいつは椎原要だと! お前はずっと、もしそういう所に行くならば最高級店で安全な場所を選ぶと合宿研修の時に言っていたではないか! 」
なんてこった。
バレバレしている。
「そんな話とか覚えてたのか……」
「馬鹿め、俺はお前に教えたはずだ。相手の名前を知って覚える事とつまらない話でも相手の話を聞いて覚えておく事だと。それこそが彼女ができるコツだと……」
「ええ? 」
「はあ? 」
などと今度は神聖帝国の側の動揺が激しい。
神聖帝国の神聖皇帝は神聖な立場なので、下半身がどうのと言う話はダメなはず。
つまり、聖なる婚姻をするまで童貞じゃないとなれないのだ。
そんな尊い御方が、モテるモテないと話している。
もう、これはドン引きである。
「いやいや、そうだとしても、本当に好きな相手ならともかく、四股は無いだろう? しかも、全部自分の人生にとって大切な関係者ばかりだし」
「ふふふふふ、付き合ってみなければ相手のことなどわかるまい。たまたま四股になっただけだ。付き合って相手を知る事こそ大事だったのだ」
などと言うから、さらに神聖皇帝の周りが騒めく。
女の子と付き合った事が無いと出ないセリフだからだ。
そうしたら、なぜかスキルコミニュケーターで精神コントロールされたままの<トゥルーラブ>が拍手した。
「は? 」
「ええ? 」
慌てて、見たがぼんやりとしたままだ。
「無意識かよ」
などと思わず、<トゥルーラブ>に突っ込んでしまう。
<トゥルーラブ>と聖なる神聖皇帝が同意見ってどうなのよ。
「あの、皆さま、お待ちを、神聖皇帝閣下はまだ童貞でおられます。下品な四股などいたすわけがない。お生まれになられてから、ずーっとおそば仕えの私からしたら、そんな話はございませんので」
などと神聖皇帝のそば仕えの執事みたいな神官服着た人物が神聖皇帝の護衛や配下に告げる。
「おおおおお」
「そうであろうとも」
などと皆が安心した顔になった。
まあ、そうだよね。
「シンパイスルナ、コイツモドウテイダ」
ただ、その神聖皇帝に向かってバンバンと俺の肩を叩くリリーにイラっとした。




