第九部 第一章
崩れてきた土砂で封鎖された19号ダンジョンの出入口を見て、唖然として立ちすくんでいた。
これで逃げるのは無理になった。
後は<トウルーラブ>を盾にしてどれだけ時間を稼げるか。
どうやら、スキルコミニュケーターと相性がいいらしくて、<トゥルーラブ>は深く深くかかったままだ。
「どうする? 」
「救援が来るのを待つしかない。崩れたのは分かるから、流石にアドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵でも動き出すはず」
「アイツドンクサイゾ」
リリーが言うが、知っているけどそれしか無いから。
多分、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下も動いてくれるはず。
なぜなら和貴が来ているのは共通の問題だし。
しかし、自分を殺した相手と異世界で会うとか嫌なもんだな。
真面目にそう思う。
だが、<ワールドハイドゥ>の面子が時間をくれそうにない。
多分、全力で下から神聖帝国の手練れが上がってきていると思われた。
それまでに俺達を確保するとかしないと手柄にならない。
そう言う気配を感じた。
だからこそ、一部の特別な戦闘力のある傭兵とかでクンラート・パウエル・ローデヴェイクや<剣鬼>のような剣客がいるが、今の<ワールドハイドゥ>のメインは結局は冒険者らしい。
「スキルコミニュケーター。<トウルーラブ>よ、俺達を守れ」
再度のスキルコミニュケーターの二度掛けである。
一応、深く効いているのだろうが、ここからは本気で時間を稼がないといけないのだ。
「えええっ? そんなに簡単に精神コントロールが出来るのか? 嘘だろ? 」
あの落ち着いていたヨハンネスが動揺していた。
「え? 簡単にみえる? 」
「簡単にみえるに決まっている。普通に精神コントロールとか伝承では麻薬効果のある草とかを使って燻して、その成分を使ったりとかするのだぞ? そんな風に何でもない掛け声だけで精神コントロールが出来るとか異常だ。皆、もう少し下がれっ! 」
思った以上にヨハンネスが警戒して動揺していた。
「そうなのか。そう言えば<異教>は麻薬を燻していたな」
「奴も精神コントロールだったのか。あれはあれで怪物だが、こんな簡単に人をコントロールできるなら、そりゃ<アチアチカップルのアニサキス>は怪物と言われるわ」
「ソウイエバ、ワタシノトキモソンナカンジデイッタダケダッタナ」
などとリリーも愚痴る。
いろいろと思い出して、俺を睨んでいた。
そのせいでベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下にボコボコにされたのだ。
「アマゾネスすらも精神コントロールしたのか。参った。皆もあまり近づくな。我々が操られて神聖皇帝の手練れとやり合わされても困る」
ヨハンネスの言葉が低音なせいか余計にそれが重たく皆に聞こえたようだ。
それで連中はこちらから距離を取って近づかないようになった。
いつの間にか這っていた<剣鬼>も入口近辺に<ワールドハイドゥ>の手練れがいて回収して向こうの方で血止めしていた。
どちらにしろ、<剣鬼>は戦えまい。
それにしても、距離が関係あるのかな?
俺の場合、相手が認知して受け入れてたら距離は意外と遠くても行けるんだが、それは言わないでおこう。
警戒されても困る。
最後の手段だし。
「キヨリガカンケイアルノカ」
ナイスタイミングでリリーがヨハンネスに聞いてくれた。
「昔の精神コントロールの奴の資料を見る限りはな。こういうのはある程度資料で残っているから」
などとヨハンネスが説明してくれるが、俺はあまり気にしたことは無いなぁ。
どうやら、俺は本当に規格外らしい。




