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第八部 第十章

「仕方ない。最後の手段だ」


 その状況を見て、目を瞑ってヨハンネスがさらに低い声で諦めたように話す。


「待て待て、それは重罪だぞ? 」


 フェリクスが叫んだ。


 それを見て、何をしようとしているのか気が付いた。


「しまった。そんな手まで考えていたのかっ! <疾風>さん、リリー! 」


 そう叫んで、急いで19号ダンジョンの出入口に走る。


 だが、這いずりながらも<剣鬼(シュベーアトガイスト)>が出入口を塞ぐようにいた。


 殆ど動けないはずなのに、片手で剣を掴む。


 血管の血止めが外れるので、血が噴き出した。


「さ、最低の料金分は働かないとな……」


 そう息を切らしながら、俺達の出入口に行くのを塞いだ。


 <剣鬼(シュベーアトガイスト)>が剣を持って殺気を見せたために、<トゥルーラブ>が動いて<剣鬼(シュベーアトガイスト)>の前に立つ。


 だが、これで膠着状態だ。


 おかげで、俺達が出入口に行けない。


「おい! 出入口を爆破しろっ! 」


 ヨハンネスが叫ぶ。


「止めろっ! それをすれば<ワールドハイドゥ>だけでなくワッセナー商会まで終わってしまう」


 フェリクスが悲痛な叫びでヨハンネスを止める。


「知った事か? もうすでに我々は一線を超えているんだ。我々の主は小娘などでない。あの御方だ」


 ヨハンネスが重々しく言い切った。


 そして、出入口付近にいた部下達も、フェリクスが<ワールドハイドゥ>を率いているのではないことがハッキリ分かってしまった。


 そして、19号ダンジョンの外側で爆発音がしてダンジョンの中が揺れる。 


 そして、出入口に土砂が雪崩れ込んで塞がれてしまった


 19号ダンジョンの出入口を爆破したのだ。

 

 正確に言うと、出入口の上を爆破してがけ崩れを起こして出入口を塞いだらしい。


 ダンジョン内には崩れが殆ど無く揺れただけだが、ダンジョンの出入口は土砂で埋まってしまった。


 掘り返すのには最低でも半日はかかるだろう。


 それだけの時間で充分だという事だと思う。


「嘘だろ? 」


 <疾風>さんが呻く。


 ダンジョンを埋める事は、ギルドキングダムでは処刑されるしかない最悪の犯罪の一つだ。


 ギルドキングダムの収益源なのだから、当然の事たが、ヨハンネスはあの御方とやらに配慮して平気で潰しやがった。


「シンジラレン」


 リリーも驚いていた。


 普段からリリーはベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の気性を良く知っているだけに本気で驚いていた。


 間違いなく彼らは全員処刑される。


 しかも、普通に殺さない。


 見せしめで無茶苦茶やられる。


「やはり、他に出入口があるのか? 」


 俺がヨハンネスに聞いた。


「なるほど。切れる。さすがテンフィンガーのトップにして怪物と呼ばれるだけはある。その通りだ」


 ヨハンネスが拍手した。


 いや、全然うれしくねぇよ。


「ゼス皇帝はここに来ているんだな」


 そう俺が言うと、<ワールドハイドゥ>の面々が口笛を吹く。


 やっぱりか。


「素晴らしいな。ゼス皇帝が執着するはずだ。たいしたものだ」


「本当に来たのか、あいつ」


 ヨハンネスの感嘆に思わず小声で突っ込んでしまう。


 それで<疾風>さんが凄い顔してた。


 敵地でも来るんだよ、あいつ。


 そういう奴だから。

 


  

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