↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/178

第八部 第八章

 そこまで考えて、ある事に気が付く。


 <剣聖(シュベーアトマイスタ)>が果たして剣を練り直すとか言う必要がいるのかどうか。


 すでに<トウルーラブ>が<剣聖(シュベーアトマイスタ)>を超える技量で挑戦者を悉く撃破していた。


 何しろ、無茶苦茶強いのだ。


 当時、男爵家の次男だったが、男爵家を継がすべきかとかいろいろあったくらいらしい。


 だから、<剣聖(シュベーアトマイスタ)>は何もする事が無かったはず。


 だが、<剣聖(シュベーアトマイスタ)>としての向上心から新技を練ったという事か?


 それも違うな。


 もっと現実を見ているタイプだった。


 となると……まさか……。


「これ……多分、<剣聖(シュベーアトマイスタ)>の対<トウルーラブ>用の新技だ……」


 それで思わず声が出てしまう。


「はあ? 」


「何? 」


 それを<疾風>さんも<剣鬼(シュベーアトガイスト)>も即座に気が付いてしまった。


 <剣聖(シュベーアトマイスタ)>最強の弟子こそ、自分を脅かす最強の敵だったのだと思う。


 だからこそ、武の頂点に立つためにも、もはや無視できる存在ではなくなった。


 自分の代わりに挑戦者を撃退する道具として育てたものが、自分を脅かす存在になったのだ。


 隠遁していたとはいえ常在戦場の剣に命を懸けた人物として、自分より優れたものは放ってはおけない。


 多分、それでダンスの中に異様に妙な動きがあるわけだ。


 それは愚直な<トウルーラブ>を騙すために。


 そう言う動きで勘違いさせるために変な殺気を込めて反応せざるを得ない技の動きが入っている。


 それで、それに匹敵する技量の<剣鬼(シュベーアトガイスト)>が無視できない。


「それで、異様な動きがダンスにあるのか」

 

 <疾風>さんが即座に気が付いた。


 難しく考えることは無い。


 単に、愚直な<トウルーラブ>を騙すための動きが入っているだけだ。


 それに、<剣鬼(シュベーアトガイスト)>が同じように引っかかっているのが悲しい現実だが。


「くっ! ふさげるな! ふざけるなぁぁぁ! 」


 ついに<剣鬼(シュベーアトガイスト)>を抜いて斬りつけた。


 だが、それはダンスに想定されている。


 神速!


 まさに神速の勢いで<トウルーラブ>が剣を抜く間も見せず<剣鬼(シュベーアトガイスト)>の剣が弾かれる。


 それで<剣鬼(シュベーアトガイスト)>はさらに動揺していた。


 今まで自分の剣が弾かれたことなど無いのだろう。


 そして、それを自分が一番嫌いなタイプの<トウルーラブ>がしてしまうのだ。


 そして、俺は気が付いてしまった。


 相手の目前で手を叩く動きの真意を。


 そう言う技が相撲にあったわ。


「猫だまし……」


「は? 」


 当然、そんな技はこの世界に無いから、誰も訳が分からない。


 その前の意味不明のダンスはそれに導かせるための誘導かっ!


「パァァァン! 」


 自らの剣が弾かれた動揺し、体勢を取り直そうとした<剣鬼(シュベーアトガイスト)>の前で<トゥルーラブ>の手が叩かれる。


 それで<剣鬼(シュベーアトガイスト)>はびくっとして剣を再度振るが、それはワンテンポ遅れていた。


 そこを<トウルーラブ>が一閃した。


 剣が飛ばされるとともに、そのまま袈裟斬りに一閃したのだ。


 <トゥルーラブ>の記憶で練習の中の<剣聖(シュベーアトマイスタ)>のダンスで何故か最後に抜刀するのが良く分からなかったが、そう言う意味だったのか。


 <剣鬼(シュベーアトガイスト)>は人生で初めて負けた。


 自分の一番嫌いな奴に。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。