記憶と書いて悪夢と読めるか?
『ねぇ、何でそんな色の髪の毛なの?』
『ねぇ、何でそんな色の目してるの?』
『何で?何で?』
『何だよ、その髪の色』
『変な色の目』
『変な奴』
――――――何で?何でみんなと同じじゃないの?
私の髪は何で黒くないの?
私の目は何で黒くないの?
みんなと同じじゃない。同じじゃないのはヤダ。同じじゃないのはダメ。
ヤダダメヤダダメヤダダメヤダヤダヤダダメダメダメヤダダメヤダ――――――。
みんなと同じじゃなきゃ、ヤダ?みんなと同じじゃなきゃ、ダメ?
『これは、しょうがないの。みんなと違うのは、しょうがないの』
―――――――だって…は……じゃ…んだもん
―――――――お前は…なんだ。俺の……だろう?
マンガ的展開で目が覚める。体が、震える。まだあの記憶に縛られているのか。
「嫌な夢…」
誰もいない――――――もとい、ヴォルフラムがいるこの部屋で一人呟いた。思い出したくもない記憶だったが、変な夢を見た所為で嫌でも思い出してしまう。
いじめ
きっかけとなったのは、やっぱり髪と目の色だった。他の子たちとは違う色。それでも小学2,3年までは、まだ不思議がられるだけだった。
進級するときに、クラス替えがあった。仲良くしていた友達とはクラスが離れ、逆にあまり好かれていない人たちと同じクラスになってしまった。男子も女子も、まるで面白がるかのように悠姫をからかってきた。それは学年が上がるごとにエスカレートしていった。
時が経つにつれ仲が良かった友達も離れてゆき、結局悠姫は孤立してしまった。
中学校に上がってもほとんどメンバーは変わらず、いじめは続いていた。
時には登校を拒否したこともあったし、自殺を考えたこともあった。
しかし、それでも悠姫は今ここに生きている。
いじめから脱するために県下トップの高校を受けることにした。幸いぎりぎりだったが、出席日数は何とかなった。だから、後は学力を上げるために苦痛に耐えながら学校に通い、家でも勉強を怠らなかった。もともと頭は悪くなかったので、県下トップの星嵐学園に無事入学を果たすことができた。
入学した当初は髪の色などを気にしていたが、トップとは言っても校風は割と自由であまり目立たなくなった。それどころか、割と端正な顔立ちだったので人気が出てきて、才色兼備と謳われるようにまでなった。友達にも恵まれ、充実した日々を過ごしている。
結論から言えば、いじめがあったが故に幸せになったという事だ。だがそう考えてもいじめがあったことは事実。そして悠姫の心に傷をつけたのも事実なのである。その傷は、簡単には癒えない。
しばらく悠姫はベッドから出ることができなかった。




