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勇者と書いて悪者と読め!!  作者: ALFA
第一章
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4/13

偶然と書いて運命と読めるか?


「今の吾輩の魔力はこれくらいだ。勇者に猫の姿にされてしまったからな」



 淡々と話すヴォルフラムだが、既に『魔王』という言葉に混乱している悠姫は『勇者』と言われてもいまいちピンとこない。



「勇者って…」



 思わず口にしてしまったがここは街中。周りには人がたくさんいる。そんな中で猫に話しかけるなど「私は変人です」と言っているようなものだ。





 ―――――――――…とりあえず、家?



 家で動物は飼っていない。母も父も動物嫌いじゃない。この条件ならば家に連れて帰っても問題は、ない。しかし猫を、しかもしゃべる猫を連れて帰るのに、どれだけの勇気が必要だろうか。しかし彼の話も聞きたい。


 ―――――――――成せば成る!…かな




 長く悩んだ末、ヴォルフラムを抱き上げた。


「何をするのだ?」



 ヴォルフラムは焦る様子もなく静かに尋ねてきた。


「家に行くの」

「何故だ?何の必要がある?」

「こんなところじゃ、あなた(ねこ)の話は聞けないでしょ?」

「フム、理解力はないが判断力はあるのか」



 ―――――――――…失礼な猫!!!!!




 



 とにかく家にヴォルフラムを連れて帰ってきた。ずっと抱いているのも大変なので、彼には自分で歩いてもらった。


「ただいまぁ…」


 そう言って玄関の扉を開けるとそこには、栗色の毛をした猫がいた。




「ね、猫?」




 悠姫が驚いていると、リビングの方から「おかえり」と言って母が出てきた。


「あぁ、この猫?斉藤さんがね、拾ったらしいんだけど彼女の家(マンション)ペット禁止なのよ。だから引き取ってきたの。あら?その猫ちゃんは?」



 母がヴォルフラムのことを見て言った。こんな偶然あるだろうか。母と娘が同じ日に猫をもらうにしろ拾うにしろ、家に連れて帰ってくるなんて。


「拾ってきたんだけど…飼えない、かな?」



 半ば諦めたように言った悠姫だが、それに反して母は「そんな事ないわよー」と明るい声で言った。


「猫ちゃんなんて一匹だろうが二匹だろうが変わらないわ。カワイーし」



 そんなことを言いながら二匹の猫に頬ずりしている。二匹とも抵抗できないまま、されるがままになっている。


 ――――――――あれ?ヴォルフラム、喋らないんだ…?



 不思議に思ったが、悠姫にとっては都合が良い。魔王だの何だのと言っても母を困らせるだけだ。あの時のように…



「ねぇ、このコたち、名前どうしようかしら?」



 頬ずりは満足したらしい母が聞いてきた。悠姫は、少し悩んでから思いついたように言った。


「黒いのがヴォルフラム、茶色いのがユーキアータ」

「何?その名前?もっと猫らしいタマとかにしたら?」


 悠姫の答えに驚いたように母が言ったが、悠姫は譲らず結局ヴォルフラムとユーキアータになった。




 ――――――だってヴォルフラムに別の名前つけるの面倒だし、ユーキアータは栗色の毛に琥珀色の瞳。ぴったりでしょ。





「何故あの猫にユーキアータという名前をつけたんだ?」


 悠姫の部屋でくつろぎながらヴォルフラムが言う。さっきまで一言も喋らなかった割に、そこには関心があったようだ。



「別に。ただ何となく思いついたから。だめだった?」

「いいや」



 普通に会話をしていたが、実際問題この猫、ヴォルフラムは魔王なのだ。しかも今日初めて会ったのだ。



 ――――――――私、結構人見知りするタイプだったと思うんだけどなぁ…




 





 こうして悠姫とヴォルフラム、ユーキアータの生活が始まったのである。






 





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