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勇者と書いて悪者と読め!!  作者: ALFA
第一章
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11/13

歪曲と書いて信愛と読めるか?


 意味ありげな微笑を浮かべたまま、ユーキアータは話続けた。


「私が彼を変えることが出来なかったから。だから戻ってきたの」





「どういうことだ?」


 ヴォルフラムが問う。警戒は見えないが、言葉にはどこか鋭さが感じられた。


「貴方と一緒なら、きっと彼を変えられる。魔界も元に戻るはずよ?」


 ユーキアータがそう言うと、怒りに震えたメルセデスが怒鳴る。


「貴女は彼を、勇者を裏切った!!」


 そう言いながら、彼女はユーキアータに斬りつけてきた。彼女が持っている杖だったものは、いつの間にか剣になっていた。しかしその剣は、ユーキアータの身体に届く前にボロボロに崩れた。驚愕に満ちた、それでも鋭くユーキアータを睨みつける瞳。


「貴女のその力は、彼(勇者)の下にあるべきなのに!!」


 メルセデスは泣き崩れる。開いている窓から吹く風が、彼女の髪を揺らして彼女の顔を隠す。ユーキアータもヴォルフラムも何も言わず、ただメルセデスの泣き声が虚しく響いた。



 しばらく静寂に包まれた後、ユーキアータはいきなりメルセデスに近づいていった。


「メルセデス。貴女の気持ちは分かるけど、今は少し眠っていて?」


 ユーキアータがそう言って、メルセデスの瞳を覆うようにして手をかざした。すると途端にメルセデスは、座る力も失いその場に倒れた。今まで黙っていたヴォルフラムが口を開く。





「何故殺さない?お前に刃を向けたのだぞ?」

「そんなこと、すると思われてたの?心外だわ」




 メルセデスを自宅に運んだ。その間、ユーキアータもヴォルフラムも口を開かない。その夜の間、長く続く重い沈黙が、結局消えることは無かった。




 翌朝目が覚めたときは、ヴォルフラムの姿は無かった。


「二人ともどこ行っちゃったのかしら…」


 ヴォルフラムと猫のユーキアータの姿が見えなかったので、母は心配そうにしていたが悠姫は何も言わなかった。「ユーキアータが戻ってくることは無いよ」そう心の中で呟いた。だってあの猫は、悠姫(ユーキアータ)の魔力の塊だったのだから。




 学校に登校すると、いつもと変わらないメンバ―が慣れないあだ名で呼ぶ。


「おはよう、ゆっきー」


 彼女も例外ではなく、いつもと変わらない様子で話しかけてきた。


「おはよ、水樹」




 こうしていつもの日常が始まる。









『ユーキアータ』






『ボクは君を失いたくない』


                『だから全部壊してあげる』


『何が気に入らないんだい、ユーキアータ?』


                『ボクの全部を君にあげるよ?』


『ボクはこんなに君を愛しているのに?』


                『君がずっと欲しかったんだ』


『何故ボクから離れていくんだ?』


                『ボクの下に鎖でつないであげる』


『ユーキアータ』


                『だから戻っておいで』


        

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