第四話 西の御方
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一度完結させましたが。
西の御方へのコメントをいただきましたので、
第七回までの連載とさせていただきたく思います。
皆様の御期待にお答えできれば良いのですが。
もうしばしお付き合い、よろしくお願いいたします。
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できれば一生会いたくない相手がいる。
正直に言って、会いたくない。
けれど、会わざるを得ない。
最低限、挨拶を交わす必要がある。
「う、うううう……。でも、お噂を聞いただけで拒絶するのは……、王族としては……駄目よね……」
わたくしが何を悩んでいるのかと言えば、結婚式の招待客。
宗主国があり、従属国がある。
わたくしの国は従属国だ。
……わたくしとジュリアン様の婚儀には、宗主をお招きするのが当然だ。
いえ、宗主はいいの。宗主のご予定に合わせてわたくしたちの結婚式の日取りを組んだくらいなのだから。
だけど……。
宗主に列席を願うということは、他の従属国すべてにも結婚式の招待状を送り……。
いえ、もちろん、全ての従属国の王族が、結婚式に参加するわけではない。
というか、祝辞的な手紙と祝いの品を贈ってくださる程度で済ますのが普通。
第一王女であるフィオナお姉様が嫁がれた隣国からは、もしかしたら外交官か文官あたりが列席するかもしれないけれど……。
それは、いい。
お姉様に直接会うことが難しくても、近況でもお話いただければ嬉しい。
問題は……。
「『西の変態』と名高いフレミング王国国王であるダムソン・デ・フレミング陛下……」
会いたくない。
切実に会いたくない。
何故なら西の御方は……裸族だ。
一糸まとわぬ姿の成人男性を結婚式に招待してどうしろというの!
わたくしは視線を逸らすべき?
わたくし以外の招待客たちはどう思うの⁉
変態を招待した結婚式として、代々語り継がれて……。
ああ、嫌。
考えたくない……。
なのに……。
「ああ! 『西の』か! 我が良き友! 気持ちの良い付き合いができる漢よ!」
呵々と笑うジュリアン様。
ええと……、ジュリアン様お待ちになって? 今、あなた様は……気持ちの良い付き合いと申されました?
個人的なお付き合いがあるのですね?
しかも、友……。友なのですか、そうですか……。
「共に酒を酌み交わしたことも何度もある。『西の』は興に乗ると西の民族楽器をつま弾いてな。また、その曲が何とも素晴らしく、歌声も美声である。ローズマリーにも聞かせてやりたいものだ」
マジデスカー……なんて、平民言葉で空を見上げたくなるわたくしですが……。
「……わたくしたちの結婚式にご列席は」
「返事は既に貰っている。久しぶりに会うのが楽しみだ!」
「ソウデスノネ……」
ご参列いただいてしまうのね……。
更に、結婚式にご参列いただくだけではなく、結婚後も個人的なお付き合いがあると想定するべきですね……?
うあああああああああ…………。
わたくしが頭を抱えてしまえば、ジュリアン様が「どうした?」と心配げな声を出されました。
裸族の殿方と対面。
裸族の殿方を自分の結婚式に招待する。
それから婚姻後の親密なお付き合い……。
嫌ですわああああああ……なんて言えない状況。
「いえ、その……、わたくし、西のヘンタ……いえ、御方とのお見合いを選ばずに、東のジュリアン様を選んだものですから……」
選択に後悔はない。
今から選び直せと言われても、西の裸族信仰者との婚約なんて、断固拒否!
それにジュリアン様は、単に女装しているだけで、麗しいお顔だし、おみ足は素敵だし、見上げれば首はちょっと痛くなるけれど、その前に抱き上げてくださるし、ドレスの趣味も合うし……。
国中の殿方と比較したって、わたくしはジュリアン様を選ぶわ!
大好きよ!
愛していると堂々と言えるわ!
わたくしの目には、ジュリアン様の欠点なんて、何一つ映らない!
……いえ、裸族の御方と親しいというのは……、欠点に数えていいのかしら……。
なんて、言えないけれど。
でも……。
「ああ。そういえばそうだったか! ローズマリーは『西の変態』と『東の変態』のどちらかを選べと言われて私を選んでくれたのだったな!」
「え、ええ……」
「大丈夫だ、ローズマリー。『西の』はそのような些細なことを気にするような漢ではない」
「そ、そ、そ、そうでございますか……」
寧ろ気にして、結婚式を欠席してくださらないかしら……なんて。
そんなささやかな願いは叶いそうもない……。
ならば。
わたくしは居住まいを正しました。
背筋を伸ばし、侍女が用意してくれた薫り高いお茶を飲み干します。
わたくしは王女として、そして東のリドリー王国の次期王妃として、何よりもジュリアン様の伴侶として! 覚悟を決め『西の変態』と対面せねば……!




