第三話 ウエディングドレス
リドリー王国の国王であるジュリアン・デ・リドリー陛下との婚約を宗主に認められて。
更に「婚儀はなるべく早くが良かろう」とも言われたのだけれども。
一国の国王と一国の王女の婚儀はそう簡単には行えない。
会場、招待客、料理に、式次第。
さらに重要なのが……。
「ウエディングドレスよね……」
わたくしは、応接間のテーブルの上に、ウエディングドレスのスケッチ画を広げて、じっと見る。
なだらかに広がるスカート、王道のAラインのドレス。
華やかでゴージャス、ボリュームもあるプリンセスライン。
膝周りで絞り、裾に向かって広がる人魚を思わせるシルエットであるマーメイドライン。
んんんんー。ベースの形だけでも悩む。
色は白でいいとしても……、金糸か銀糸の刺繍を加えてもいいかもしれない。更にヴェールとの兼ね合いとか、手に持つブーケとか……。
顔を顰めて悩んでいるところに嘶き声が響いてきた。
ソファから立ち上がり、使用人に窓を開けさせる。
すると……馬に乗ったジュリアン・デ・リドリー陛下が悠々とやってくるのが見えた。
「ちょうどいいわ。相談しましょう!」
わたくしはデザイン画をそのままに、ジュリアン・デ・リドリー陛下を待った。
「ローズマリー!」
「いらっしゃいませジュリアン・デ・リドリー陛下!」
「もう正式な婚約者なのだから、名で呼べと言っただろう?」
「あ、そうでしたわね! ジュリアンさま!」
ジュリアンさまと見つめあって、うふふふふふ~っと微笑みあって。
……身長差があるから、実は首が痛くなるのだけれど、そんなことどうでもいいわ!
なかよしよ! わたくしたち!
「ちょうど結婚式のウエディングドレスで悩んでいたところですの! ジュリアン様のご意見をお聞かせ願いたくて!」
テーブルに広げてあるデザイン画を示したら、ジュリアン様は、眉間に皺を寄せて、ものすごく苦悩されているような表情になった。
あら? ドレスのデザイン画なんて、喜んで見てくれると思ったのに……。
普通の男性なら「よく分からないから、君が好きなドレスを着ていいよ」とか言うでしょうけど……。
ジュリアン様は女装趣味。
今だって、太ももまでスリットの入ったドレスを着用しているわ。もちろん脚にはきらびやかなプラットフォームシューズ。
ウエディングドレスなんて、一生に一度のもの、絶対にアレがいいこれがいいとご希望を告げてくださると思ったのに。
「ジュリアン様?」
「いや、すまないローズマリー」
「何かございました?」
「その……。ウエディングドレスを着ることができる君が羨ましいと……」
わたくしはきょとんと首を傾けた。
「新郎である私は……タキシードかと思うと……」
「え? ジュリアン様? ドレスは着用なさらないので?」
着ますわよね? 女装趣味のジュリアン様が、結婚式でウエディングドレスを着ないなんてありえませんわよね?
それとも、結婚式では男装されるおつもりで?
尋ねてみたら、ジュリアン様はわなわなと震えだした。
「い、いいのか⁉ 結婚式で私がウエディングドレスを着ても!」
「ええ、もちろんですわ! ですから悩んでいたのです。ジュリアン様とわたくし、二人ともが着用しても共に似合うドレス! ジュリアン様ならプリンセスラインのゴージャスなドレスが良いと思うのですが、わたくしだと一番似合うのは無難なAラインかと……」
「な、なんと!」
「いっそ、ジュリアン様がドレス、わたくしがタキシードという案も考えたのですが、わたくしとてウエディングドレスに憧れがありますので、いろいろ考えてもやはり、ふたりで揃いのウエディングドレスが良いと……」
思いますのよ……と言い終わらないうちに、ジュリアン様はわたくしを抱き上げた。
「ああ……! なんということだ! ローズマリー! あなたという婚約者を得られたことが我が最大の幸福……!」
「うふふふ……。わたくしも嬉しゅうございますわ!」
そして、二人してキャッキャとドレスを選びました。
そして、わたくしのドレスは……。
アシンメトリーなワンショルダーデザインのドレス。片側の肩にあしらわれたボリュームのあるフリルが顔回りを華やかに彩り、デコルテラインを綺麗に見せるの。
ドレスのスカートの部分は、ティアードフリルを重ねに重ねたボリュームのあるフレアシルエット。
ジュリアン様のドレスも全く同じ形にしようと思ったのだけれども……、ワンショルダーでは、ジュリアン様の鋼鉄のような筋肉がものすごく目立つ。
なので、わたくしのドレスには片側のみのフリルだけど、ジュリアン様のドレスには両肩にフリルをつけたの。
それだけが違って、後は同じ形のドレス。
うふふふふふ……。
ああ、結婚式当日が楽しみですわ!
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某ラオウ様の絵柄でご想像いただけると嬉しいです(笑)
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ここで完結の予定でしたが。
西の裸族の話のご要望をいただきました……。
ありがとうございます。
一度完結にしましたが、続きを書かせていただこうかと思います。お待ちください。




