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陰キャな俺の初恋相手の妹が、学年一の美少女になっていた。それでも、俺からしたらそれだけだ。  作者: 白浜 海
入学編

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先生からの呼び出し

「昼休みに呼び出して悪かったな、翡翠」


 校内放送で呼び出されたため、俺が仕方なく職員室へ向かうと――待っていたのは菜奈さんではなく、担任の桜庭先生だった。


桜庭先生に呼び出されるような心当たりは全くないのだが……。


「俺、何かやらかしましたか?」


「いや、安心しろ。お前は何もやらかしてなんていない」


「じゃあ、なんで俺は呼び出されているんですか?」


「それはな……」


 そう言って桜庭先生は、急に真剣味を帯びた顔つきになって俺を見つめてきた。普段の軽いノリとは違う神妙な表情を見るのは初めてだ。これはただ事ではない話なのだろうか?


「翡翠……お前……オタクにならないか?」


「失礼します」


「ちょっ、早い! もう少し先生の話を聞いてくれ!」


 俺が馬鹿だった。桜庭先生はやはり桜庭先生だったのだ。


生徒をオタクに勧誘するためだけに校内放送まで使って職員室に呼び出すなんて、職権乱用もいいところである。まるでどこかの生徒会長だ。本当にこの学校の教育現場は大丈夫なのだろうか?


「翡翠! 私が悪かったから!」


「はぁ……何なんですか、一体」


「真面目な話をしよう」


「最初からそうしてください」


 俺が呆れ顔で告げると、桜庭先生は再び真剣な表情に戻った。今度こそふざけた内容だったらそのまま立ち去ろうと心に決め、話を聞くことにする。


「……柏村のことだ」


「柏村って、彩花のことですか?」


「その通りだ」


 彩花のこと? どうやらこれが俺を呼び出した本当の本題らしい。


だが、彩花のことなら本人を直接呼び出せばいいのではないだろうか……。


「最近、柏村の様子がおかしいと思わないか?」


「様子、ですか?」


「あぁ。些細なことでもいい」


「些細なこと……朝から勉強を頑張ってるとかですか?」


「そうだ」


「それが何か問題なんですか?」


 勉強を頑張ること自体は決して悪いことではないはずだ。むしろ高校生として褒められるべき行いのように思えるのだが。


「翡翠は『頑張っている』と言ったが、私から見たら『頑張り過ぎている』ように見えるんだ」


「まぁ、確かにそうかもしれないですけど」


「何事も無理をして頑張りすぎれば、後から必ず不調をもたらす。例えばソシャゲのイベントを限界まで周回したあと、急に目や体にガタが来たりするだろ?」


「はぁ……」


 桜庭先生の例えはイマイチピンと来なかったが、要するに「無理をして頑張っている間は大丈夫でも、張りつめた糸が切れたあとが危ない」ということなのだろう。


使命感やアドレナリンで体が限界を自覚できない状態というのは、なんとなく俺にも理解できる。ただそれは、あくまで極限まで無理を重ねていた場合の話だ。


「彩花は、そこまで無理をしているんですか?」


「それは私にも分からん。ただ、柏村がそこまで猛勉強をするようになったのは1ヶ月程前……私が『中間テスト1ヶ月前だ』と言った翌日くらいからだったはずだ」


「確かに……」


 言われてみれば、俺が朝学校に来ると彩花が一人で机に向かうようになっていた時期とピタリと重なる。こう見えてこの人も、教師らしく生徒の様子をちゃんと観察していたことに俺は内心驚いていた。


「翡翠、柏村が毎朝何時に登校してきているか知っているか?」


「知らないですけど……」


「朝の7時だ。柏村は1ヶ月前からずっとな」


「!?」


 朝のホームルームが始まる時間は8時30分だ。基本的にはそれまでに登校すれば何の問題もないのだが、彩花は毎朝7時に登校してきて、一人で黙々と勉強を続けていたという。


たしかにそれは、少し心配になるレベルだ。おそらく彩花はゴールデンウィーク中も部屋に閉じこもって勉強していたのだろう。それが原因で、菜奈さんから俺にヘルプの連絡が届いたのだから。


「私が言いたいことは、もう分かるな?」


「なんとなく分かりましたけど……俺にどうしろと言うんですか? 勉強をやめろとでも言えばいいんですか?」


「私は仮にも教師だ。そんな勉強を止めるようなことは言えない」


「だから俺に言えと?」


「いや、それも違う。翡翠には柏村のことを気にかけてやってほしいんだ」


「気にかける?」


「あぁ。やり方はすべて翡翠に任せる」


「えぇ……」


「大丈夫だ、翡翠ならやれるさ。それに……案外、私の気にしすぎであって実際は何ともないかもしれないしな!」


 そう言って桜庭先生は俺の肩をポンポンと軽く叩いた。


(……要するに丸投げじゃないのか、これ)


 俺としては桜庭先生の言う通り、「先生の気にしすぎ」であってほしいと切に願う。


だが、ここ最近のどこか鬼気迫るような表情で勉強に没頭していた彩花の姿を思い出すと、どうしても胸のざわつきを抑えきれないのだった。


どうも! 白浜 海です!

総合評価ポイント1000達成です!!

本当にありがとうございます!!

ブクマ、☆評価、リアクション、感想全て励みになっております!!

5万PVも目前ではありますので、次は10万PVの大台に向けて頑張って参りますので、今度ともよろしくお願いいたします!!

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