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陰キャな俺の初恋相手の妹が、学年一の美少女になっていた。それでも、俺からしたらそれだけだ。  作者: 白浜 海


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12/18

翡翠家の休日

 いきなりだが、朝起きたら横に妹がいる。


 こんな状況について、どう思うだろうか?


『妹』という生き物を過剰に神格化している一部の層からすれば、目から血の涙が零れ落ちるほど羨ましいシチュエーションなのかもしれない。


 だが、そんな理想を抱けるのは『実際に妹がいない人間だけだ』と俺は断言できる。現実に妹を持つ全国の兄たちなら、俺の気持ちを分かってくれるはずだ。


 だから俺は、全国の兄たちの心の声を、今ここで代弁しようと思う。


「何してんのお前?」


「お兄ちゃんの寝顔を見てたの!」


「……おはよう」


「おはようお兄ちゃん!」


 そう言って、楓はそのまま俺に抱きついてくる。


 信じられるか? この妹、これでも中学2年生なんだぜ?


 中学生にもなれば「洗濯物は一緒に洗わないで!」と言い出したり、家族と一定の距離を置きたがる年頃ではないのだろうか。


 うちの妹に関してはそんな反抗期など微塵もなく、むしろ歳を重ねるごとにくっついてくる頻度が増えている気さえする。


「なぁ、楓。お前も中学2年生なんだから、もう少し慎みを持ったらどうなんだ? お兄ちゃんも一応男なんだから、勝手にベッドに入り込んでくるのはどうかと思うぞ?」


「なんで?」


「なんでって……」


「楓はお兄ちゃんになら、何されてもいいよ?」


「もうお兄ちゃん、お前の将来が心配だよ……」


「大丈夫! 楓はお兄ちゃんのこと、ずっと大好きだからね!」


 ……どうやら楓とは、まともな会話すら成り立たないらしい。


 全国の兄たちに問いかけたい。俺は一体どうしたらいいのだろうか。もうこの妹は俺のキャパシティではどうにも処理しきれない。


 このやり取りも今までに何度も繰り返してきた。けれど、楓の答えは一度たりともブレたことがない。兄としては本気で頭が痛いところである。


「はぁ……起きるから抱きつくのやめてくれ」


「あと5分!」


「ダメだ」


「むぅ……」


 一向に離れる気気のない楓を強引に引き剥がし、俺はベッドから出た。


 時計を見ると、時刻はちょうど12時を回ったところだった。俺が部屋を出てリビングへ向かうと、楓も当然のように後ろからついてくる。


 リビングに到着すると、ちょうど母さんが昼食をテーブルに並べているところだった。


「おはよう」


「おはよう。相変わらず悠はよく寝るわね」


「休みなんで」


「それで、相変わらず楓は悠にベッタリなのね……」


「うん!」


「はぁ……お母さん、少し心配だわ……」


「そう思うなら、母さんからも注意してくれよ」


「悠? 楓がいくら可愛いからって、分かってるわね?」


「俺にじゃなくて!」


 どうしてそうなるんだ!と声を大にして叫びたいところだが、寝起きで大声を出す気力が生憎となかった。


この母にして、この妹あり。直接的ではないにしても、絶対に母さんの適当な性格が楓に悪影響を及ぼしている気がする。


 ちなみに、唯一の常識人であり俺の味方をしてくれそうな父さんは、現在単身赴任中で別居中だ。我が家のパワーバランスは崩壊している。


「お兄ちゃんは今日1日、お家にいるの?」


「予定もないしな」


「やったぁ! それじゃあ、今日は楓とゲーム三昧ね!」


「飯食ったらな」


「うん!」


 そう言って楓は、また嬉しそうに俺へ抱きついてくる。それを微笑ましそうに見つめている母さんよ。あんた、親としてそれで本当にいいのか……?


 楓は家だとこんな感じでやたらと明るいのだが、学校では控えめな性格らしい。友達は一応いるようだが休日は家にいることが多く、そういう根暗なところはしっかり俺の妹をしている。


 そんな訳で、引っ越してきてからの休日は楓と2人でよくゲームをして過ごしていた。というより、どちらかに用事がない限りは毎日のように対戦している。


(……もしかして、楓のブラコン化の原因ってこれなのか?)


 ちなみに俺と楓はここ1年ほど、緑の甲羅を投げつけたり路上にバナナを仕掛けたりする、非常に友情を破壊しやすいレースゲームばかりプレイしている。


「そういえば悠。彩花ちゃんと昨日会ったのよね?」


「うん」


「彩花ちゃん、可愛くなってた?」


「まぁ、可愛くはなってたよ」


「それなら悠も頑張らないとね!」


「なにを?」


 尋ねてみたものの、母さんは何も答えずただ意味深に微笑むだけだった。なぜか楓までもがニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。


 意味が分からない。彩花が可愛くなったことと、俺が頑張ることの間に一体どんな因果関係があるというのだ。


 考えても答えは出そうにないので即座に思考を放棄し、朝昼兼用のご飯を食べた後は、楓とゲームをし、夕飯を食べて風呂に入り、また楓とゲームをして今日という1日が終わりを告げるのだった。


どうも! 白浜 海です!

日間ランキング(恋愛)TOP10に入ってましたΣ( ºロº)

朝、ランクインの通知を見て本気でびっくりしました…

本当にありがとうございます!!

まだまだ頑張りますので、

今後ともよろしくお願いいたします!!

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