幼馴染とのお出かけ
今日は土曜日。高校生活が始まって初めての休日だ。俺はというと、休日だというのに朝の11時から駅前にいた。
『11時は朝なのか?』という疑問の声も聞こえてきそうだが、俺から言わせれば立派な朝である。普段の俺ならまだ布団の中にいる時間なのだから、俺が寝ている時間帯=朝なのだ。異論は認めない。
「悠くん! お待たせ!」
「別に待ってないぞ?」
「ふふ。なんだか恋人みたいなお約束のやり取りだね!」
「そうなのか?」
「むぅ……」
なぜか彩花は頬を膨らませ、不満そうにこちらを見てくる。
俺はただ事実を伝えただけなのだが、恋人らしいと言われてもいまいちピンと来ない。彩花からは『11時に駅集合』とだけ伝えられていたので、俺は11時ちょうどに駅へ到着した。彩花は数分遅れて到着したが、数分程度なら遅刻のうちに入らないだろう。
彩花の私服姿を見るのは3年ぶりになる訳だが、制服の時とはまた違った雰囲気だった。
端的に言ってしまうと……可愛い。
白のブラウスにゆったりとしたパンツを合わせ、少し大きめのワンポイントが入った白のトートバッグを抱えている。実に春らしく爽やかな装いだ。
ちなみに俺はというと、白のパーカーにデニムという至極シンプルな格好である。
個人的な持論なのだが、パーカーほど万能な衣服はこの世に存在しない。男だろうと女だろうと、とりあえずパーカーを着せておけばそれっぽく見えてしまうのだ。俺のパーカーに対する熱い情熱を語り出すと長くなるので、ここでは割愛させてもらう。
「それで? どこに行くんだ?」
「それは着いてからのお楽しみ!」
「なんだそれ」
「そっちの方がワクワクするでしょ? それじゃ、行こっか!」
そう言って彩花は駅の中へと歩き出す。
俺は『11時に駅前』としか知らされておらず、行き先については何一つ聞かされていない。仕方なく黙って彩白の後に続いた。電車に乗り込み、揺られること5駅目。俺達はホームへと降り立った。
「ここって……俺が引っ越す前の地元だよな?」
「うん!」
「彩花も引っ越したのか?」
「引っ越してないよ」
「それなら、わざわざ迎えに来てくれたのか?」
「せっかくの定期券だしね!」
そう言って彩花は、定期券が入っているであろうピンクのパスケースを誇らしげに見せてきた。
迎えになんて来なくても、ここに集合と言ってくれれば俺一人で来たのに……。これだと彩花は、わざわざ俺を連れ出すために1往復余分に移動したことになる。彩花が引っ越していないなら、この駅こそが彼女の家からの最寄り駅なのだから。
「なんか、すまんな」
「いいの! 私がしたくてしたことなんだから! そんなことより早く行こ!」
「行くって言っても、ここって何か遊ぶ場所なんてあったか?」
俺の記憶が正しければ、この駅周辺には大型のショッピングモールがあるくらいで、あとはカラオケ店がある程度だったはずだ。それくらいなら、わざわざ電車に乗って来なくても俺の今の家の近くにもあるのだが。
「悠くん、忘れちゃったの?」
「何をだ?」
「着いたら分かるよ!」
「ちょっ、おい彩花!?」
彩花はそう言うと、俺の手をキュッと握って歩き始めた。
高校生にもなってこんな軽率なスキンシップをしていては、勘違いしてしまう男子が星の数ほど湧いて出てしまうだろうに……。ただでさえ彩花は、美少女と呼ぶのに何の躊躇もいらないくらい可愛くなっているのだから。
当の本人である彩花は何も意識せず、小学生の頃と同じような感覚でやっているのだろう。ここで野暮な指摘をするのも変に意識させてしまいそうだしな、と俺は口を閉ざすことにした。
――そんな思考を巡らせていたが故に、手を繋ぐ彩花の耳が真っ赤に染まっていることに、俺が気づくことはなかったのだ。
どうも! 白浜海です!
日間ランキング30位以内にランクインしてました!!
本当にありがとうございます!!
ここまで読んで頂いている読者様には感謝しかございません!!
次話は大変長らくお待たせいたしました。
彩花とのほのぼの回になりますので、
是非ほのぼのして頂ければと思います!笑
本日18時更新予定です!!
ほのぼの回は明日なんて焦らしはしません!笑




