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その11

 おれの前にテレビ・モニターが引き出され、ディスプレイが明るくなった。


 そこには、庭の草むしりしているあの爺がいた。


「何だ、君は・・・?」と、爺は突然立ち上がり振り返ると画面の外に向かって言った。

「・・・」画面の外の人間は何も言わなかった。

「そうだ、君は木×○和ではないか!昭和六十×年T中学校卒業、いや、平成に入ってからか?

 いかん!記憶が曖昧だ!私も少しぼけてきたか。

 それで、元気か?

 今、何をしている?

 君は自分の失敗を、他人の所為にする悪い癖があった。あのままの性格では仕事も上手くいかないだろう・・・。

 世の中、この不景気だ。失業中ではないか・・・?」


 なんだ、これは? 

 これはおれがあの爺を絞め殺した時のビデオでないか?でも、どうしてこんな物がこんなところに・・・?


 次の瞬間、画面の中におれが飛び込んできた。

「この野郎!」画面の中のおれは怒鳴ながら、爺の首を必死に絞めていた。

 爺は一瞬驚いたようだが、なぜか嬉しそうに笑った。(少なくとも、おれにはそう見えた。)

 そして、おれの足元にゆっくりと崩れ落ちた。


「・・・」あまりの事におれは何も言えなかった。


 画面の中のおれは辺りを見回して、ようやくこちらを向いた。

 それでも何も気がつかないで、手ぐしで髪の乱れを直し画面から消えた・・・。

 

 おれは見られていたのだ・・・。その上、ビデオを撮られていたのだ。

 しかし、誰が?何処から?何故?


「×淵○さんはDハウスで家を建てた。Dハウスのモデルハウスがすぐ近くにある。

 Dハウスは知っているな?Dハウスの社員が君を見ている。でたらめの住所だが筆跡も残っている」刑事が詰問した。

「・・・」元々気の小さいおれだ、思わず無言で頷いた。 

「×淵○さんがDハウスにしたのは“バーチャルウインドウ”が気に入ったからだ。×淵○さんはそれを和室の明り取りに使った。

 “バーチャルウインドウ”が何かは分かっているな?」刑事が話を続けた。

「・・・」おれは黙って再び頷いた。

 ようやく、事情が分かってきた・・・。


 おれは何て運が悪い男なのだ!もっとも、おれの人生何時もこんなもなだったけれど・・・。


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