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その10

 玄関を開けると、見知らぬ二人の男が立っていた。

 刑事?でも、どうして?

 二人の男は、上着の内ポケットから警察手帳を出した。

 やはり刑事だ。でも、何故?

「木×○和ですね?」年嵩の刑事が言った。

「はい」と、おれは消え入りそうな声で答えた。おれは正直、びびった。

 そんなおれに容赦なく、刑事が決定的な事を言った。

「×淵○さんが殺された件であなたに逮捕状がでています、署までご同行願います。

 それから、家宅捜査礼状も出ています」

 刑事を二通の書類を見せたが、おれは上の空で何が書いてあるかの分からなかった。

 それでもおれは精一杯、冷静を装って言った。

「えぇ・・・?×淵○さん・・・?あぁ、今、テレビで殺されたと言っていました。

 でも、×淵○さんなんて知らない人だ!

 ・・・。

 いや、待ってください!中学校の時の理科の先生がそんな名前だったかも・・・?

 でも、先生には二十年前中学校を卒業してから会っていませんが・・・」

 刑事が肩を竦めるのが分かった。そして、言った。

「お話は、署で聞きましょう!

 今頃、署の前は大勢のマスコミが押しかけていますよ」

 それにしても、何故こんなに早く逮捕されたのだろう?刑事たちは絶対の確信があるようだ。

 

 やはり、おれは誰かに見られてしまったのだ!?

 でも、何処の誰に?


 あの時周囲には誰もいなかった。それだけは自信がある。おれは目だけはいいのだ!

 そう言えば、沢山の視線を感じた。あれは気のせいだけではなかったのか・・・?

 でも、帰り道誰もつけて来なかったのは間違いない!

 なら、おれの名前と住所がこんなに早く分かったのだろう?

 逮捕状を取るにはそれなりの時間がかかるはずだし・・・。

 と、言う事はおれがあの爺を殺した瞬間からおれの名前と住所が分かった・・・?!

 なぜ? 


 おれを後部右側に乗せた車(覆面パトカー)がR署に着くと、刑事が言ったとおりそこはマスコミの記者であふれていた。

「無実だ!」と、おれは精一杯虚勢をはって言った。「冤罪だ!」

 しかし、記者たちは皆笑っていた。

 なぜ? 


 おれは取調室に入れられ、机の向うにあの年嵩の刑事が座り、部屋の片隅の机に若い方の刑事が座った。

「冤罪だ」と、おれは虚勢をはって言った。「あんた達はとんでもない間違いを犯している・・・!」

「木×!」刑事はおれを呼び捨てにした。

 もともと気の小さいおれは縮み上がった。改めて、おれは逮捕されたのだと思った。

「御託は聞きたくない。

 普通はこんな事はしないが、これを見てもらう!

 これを見れば、もう御託を並べる元気もなくなるだろう・・・」

 そう言うと、刑事は愉快そうに笑った。


 やはり、とんでもない事があったのだ!?


 

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