第九百九十七話
「ふう、ただいま……」
遊園地で遊ぶのも終わって、バスで学校に戻ってきたのだが、そのまま解散になった。
「……椿ちゃんがいないだけで、なんだか狭くなった気がするね」
「というより、椿にとってこの家は狭かったとも言えるな」
風香と一緒に帰ってきた秀星。
荷物をおいてソファに座ったが、どこか力が抜けている二人。
「……いろいろやることはやったし、後は……何をするのかよくわからん卒業式だけか」
「だね。一か月くらいで星乃が来るって言ってたし、四月になってすぐくらいかな。それまで、秀星君はいろいろやっておくことはあるの?」
「……やっておいたほうがいい『内職』があるということと……アトムから、沖野宮高校と天窓学園の来年の教科書について話し合いがあるから早めに来てくれって」
「三月をちょっと超えた今というタイミングでその誘いが来るの?」
学習指導要領のクオリティが心配になってくるが、こればかりはアトムがやるからという理由だけで納得していただくしかない。
「わかった。それじゃあ、私は未来の私からもらった神器のために鍛錬してるよ」
「それでいいと思う。正直…………扱いにくいからな」
「間が長くない?」
「いや……まあ、気にするなよ」
さすがの秀星も、『未来の風香が使いこなしている神器がシンプルな構造になってるわけないからな。絶対癖強いし』とは言わないのである。
「フフッ。私が使いこなせるような神器なんだから癖が強いに決まってる。とか考えてない?」
「……」
女の勘が鋭いのはフィクションの中だけで勘弁してくれ。
「とりあえず、ミーシェさんやライズさんに聞いてくる」
「剣術神祖と鑑定神祖に師事するなんて……なんて贅沢」
「馬鹿な事言わないの。それじゃあ、ちょっと行ってくるね」
そういうと、風香はリビングから出て行った。
「……俺はちょっと寝よう。なんか疲れた」
そのままソファで横になる秀星。
そんな秀星に、セフィアは毛布を掛けた。
(椿様がいたからこそ、なんだかんだで動いていた部分がありそうですね……まあ、あの様子なら椿様もレポートに関してモヤモヤを抱えることもないでしょう。椿様が抱えるであろう問題に関しては、もう私たちが抱えるようなものでもないでしょう)
セフィアとしてもいろいろ思うところはある。
ただ、それぞれが解決するべきことだ。
「……来年度には星乃様が来ますね。それに対応できるよう準備しておきましょうか」
セフィアはとても楽しそうな笑みを浮かべる。
理由は簡単。
星乃の恥ずかしいことやアレなことを、椿はぜーんぶしゃべってしまったからである!
メイドとしては遊ぶための材料が増えただけである。
というわけで、セフィアとしてはとても楽しみなのだ!
「……ほどほどにな。セフィア」
秀星はとりあえずそれだけ言っておいて、眠りについた。




