第九百九十四話
「五百枚位撮れました!」
アホである。
「ふう。後は……何かしておくことってありましたっけ?」
「特にないと思うぞ」
「あと、結構時間がギリギリだね……」
ラターグがスマホで時間を確認しながらつぶやいた。
椿はそれを聞いて『むうう……』と唸ったが、切り替えが早いということもあるのだろう。椿はあきらめた。
「写真を撮る時に、皆さんにお別れの挨拶はしっかり済ませましたし、大丈夫ですかね」
「大丈夫だと思うよ。だって五年後には会えるしね」
「私が産まれますからね!」
「そうね……まあ、椿ちゃんが産まれる時、何故か高校一年生の椿ちゃんが隣で応援してたからなんか妙な感じになったけど」
何がどうなるとそんなややこしいことになるん?
「むうううう!わかりましたよ。私は未来に帰りますよ!」
椿はスマホをポチポチ弄ると、空に掲げる。
すると、ラターグが乗ってきたマシンを大きくしたようなものが出現した。
どうやら五人乗りと言っていたのは間違いないらしい。
遊園地の大広場にマシンが出現して、『ああ、もう帰っちゃうんだな……』という雰囲気で満たされる。
「私が運転するわ。椿ちゃんは最後までちゃんとみんなに手を振っていてね」
「はい!」
「僕は寝てるよ」
「好きにしなさい」
というわけで、マシンに乗り込んでいく三人。
「皆さん!一年間楽しかったですよ!ありがとうございました!」
椿はマシンに乗り込むと、振り向いて大声で手を振りながらお礼を言った。
それに対して、生徒たちは沸き上がる。
椿は楽しかったし、それと同時に、生徒たちも楽しかったのである。
「……む?セフィコットさん?」
セフィコットが一体、椿の傍に来た。
手に握っているのは、『オールハンターの保存箱』の子機である。
小さい箱を持っていた。
「あれ?これは……」
「保存箱の中に大量のアイテムを入れることができるから、それにいろいろお土産が入ってるんでしょうね。本来なら『親機』とつながっているはずだけど、今はつながってないみたいだし」
「わかりました!」
子機を受け取って大事に抱える椿。
「それじゃあ、出発するわよ」
「そうだね……zzz」
「ラターグさんの寝る速度が凄いですね」
「いつもそんな感じよ」
風香が操作レバーを引く。
すると、マシンがゴウンゴウンと動き始めた。
それと同時に、椿が大きく手を振っている。
「皆さん!本当にありがとうございました!……一か月後には弟の星乃が来ると思いますので、よろしくお願いしますね!」
「「「「「「え?」」」」」」
マシンは時空の裂け目に消えていきました。
「……ねえ、秀星君。さっきのどう思う?」
「……俺に振るな」
いつでもどこでも爆弾を張り巡らす椿ちゃんには脱帽である。




