第九百九十一話
「二日目の夜で、アトラクション完全制覇ですううう~~~っ!」
アホである。
ちなみに、お化け屋敷もバンジージャンプもすべてこなしている椿。
苦手なものとかないんだろうか。度胸試しが通用しないのは人としてどうなのかと言いたくもなる。
「むふふのふ~!」
歓喜の舞を踊っている椿からすればどうでもいい話か。
「すげえな椿ちゃん……」
「二日で全部回る……苦手なものとかないの?」
「中には時間がかかるものもあったはずなんだが……椿ちゃんなら最短でクリアしちゃうか」
常識外れのスペックを持つ椿からすれば、遊園地のアトラクション程度はすべてこなせるのだ。
ただ、お化け屋敷でも『\(>▽<)/』となっているのはちょっと神経を疑うのだが、椿だからね。仕方ないね。
「あとは時間が決まっているものですね。今日の夜は花火があったはずですよ。むっふー!」
遊園地のイベントとして行われる花火は相当の技術と金が使われていて派手である。
椿としてもこういうものは楽しみなのだ。
「花火までの時間。どこに行きましょうか……む?あ、お父さん!お母さん!」
近くのベンチでまったりしていた秀星と風香を発見する椿。
そのまま突撃して、ベンチに座っている風香に飛びついた。
「おっとと!」
さすがの風香。ベンチに座ったままであっても突撃してきた椿を受け止めている。
大変危険なのでやめていただきたいが、椿はだいたいこんな感じである。風香も慣れた。
「えへへ~。おかあさーん!」
「おー。なんかいつもより力が強いね。どうかしたの?」
「若くてぴちぴちのお母さん成分が欲しくなったんですよ!」
「ブフッ!」
三十七の方にしばかれそうな気がしてきた。
ただ、今ここでは関係ないので、椿は風香を抱きしめて、風香もまた椿を抱きしめる。
そしてセフィコットはそれをしっかりビデオカメラで納めている。
「むふふ~♪」
風香の胸の顔を埋める椿。
とても小柄でかわいらしい椿がやるととても愛らしい。
周りにいた生徒たちも、椿と風香の様子を見て朗らかな雰囲気になった。
「椿ちゃん。遊園地楽しい?」
「とても楽しいですよ!ここから花火があるらしいので、それが楽しみです!」
「そっか」
とても楽しそうでなにより。
「もうそろそろ花火かぁ……正直、見るのは初めてだな」
「普段見てるのは爆破だもんね……」
「ああ」
魔法使いは花火などやらないのだ。爆裂なのである。
あまりにも風情を超えて殺傷力が高すぎるのだが、それはご愛嬌。
「ま。ここからはダラダラしようか」
遊園地に来てからずっとダラダラしている秀星だが、花火を見る時ももちろんダラダラである。
……活動力のない父親である。




