第九百四十話
魔法省としては、秀星が今更どんなものを持ってきたとしても、あまり大した反応はない。
今までさんざんな目にあっているのだ。
確かに彼自身もそうだが、その父親である高志の時代から、基本的にロクなことにならないのである。
これで朝森家に倫理観を期待する方が間違っているだろう。
ただ、それでも秀星が持ち帰った情報は、正直呆然するしかない。
ダンジョンが星を支配し、真っ暗な空で星の全てを覆いつくしていたなど、地球人にとって考えられない話だ。
そもそも地球では、ダンジョンは資源として扱われている。
内部の環境が安定しており、モンスターの徘徊も一定。
宝箱が置かれていることもあり、その中のアイテムは利用価値、研究価値が高いものが多いのだ。
最近は誰もが定石を知ることになったため、一攫千金とはいいがたいものの、『資源』としてとらえているということに変わりはない。
もちろん、秀星が言っていることを疑う意味はない。
しかし、それでもノアスフィアにおけるダンジョンというものがそれほどすさまじいものなのだということを認識することとなった。
まあ、そんなノアスフィアまで転移してその問題を解決する秀星のほうが常識が欠如しているといえるが、今更だろう。
とはいえ、ノアスフィアに関しては『文明的にはほぼ壊滅状態だった』とのことなので、あまり求めても何も出てこないというのが本音だ。
ダンジョンの中に何があったのかは秀星のレポート次第だが、秀星にとって大した価値があるわけではないため、そのほとんどをノアスフィアの住民に渡している。
それを使って発展するだろう。
結論をここで言おう。
やっぱり頭がおかしいのは秀星だ。うん。
「俺の頭がおかしいのは認めるが……アトムもヤバいな」
「そうですね」
セフィアにレポートの作成を任せて、それを提出した秀星。
もちろん、秀星本人から聞くことというものはあるだろう。
実際、アトムからはそれらに関する質問が来た。
ただ、本当に細かい部分であり、正直レポートの内容に関しては全て理解していないと到底できないであろう質問ばかりだった。
確かにアトムであればそれは可能だろう。
ただただ、最高レベルの『才能』を持っている。
まあ……馬鹿と天才は紙一重である。仕方ないね。
「ただ、古代貴族の方でどういう結果になるかだな。正直、全く分からん」
「アルエスト様の結果待ちですね」
「ああ。昔に決めたことをどれだけ今もやれるかなんて言われても……人間、そこまでモチベーションなんて続かないからなぁ」
こればかりは返信待ちである。秀星としてもどうしようもない話だ。




