第八百八十四話
「……さて、そろそろ稼ぐのは良いだろう」
「……だな」
生徒会予算用の通帳をフォルノスから手渡されて、国枝はそう頷いた。
残高には『0』が並んでおり、相当暴れてきたのがわかる。
まあ正直なところ、『増額』や『援助』というレベルの話のシステムなので、何もここまで稼ぐ必要はなかったのでは?と思わなくもないが、『魔戦士学校における生徒会』の予算がどういうものが必要になるのかいまいち『計り切れていない』というのが国枝の考えでもある。
いずれにしても『金はあっても困らない』ので、フォルノスが暴れすぎて希少なはずのアイテムの価格が暴落する前に金は集めておいて損はない。
(……というか、需要と供給のことわかってんのかな。この会長……わかってるはずがないか)
国枝は内心で溜息を吐いた。
「どれくらいいるのかわからんが、まあこれくらい集めておけば問題ないだろう。しかしまあ……金を稼ぐというのは楽なもんだな」
「それは実力が金になるシステムがすでに出来上がってるからな」
当然のことだが、換金所に持ち込まれたモンスターの素材を欲しいと思うものがいなければ、そこに『金』は発生しない。
それらの需要をまとめ上げて、供給するシステムが存在するからこそ、『純粋な暴力』の実力でフォルノスは金を稼ぐことができた。
まだ魔法社会が表に出ていなかった一年ちょっと前なら、確かに金は手に入るだろうが、ここまでではなかっただろう。
「しかし、どれくらいいるのかわからんから大量に集めるって……」
「ん?なんだ。別に悪いことではないだろう」
「……まあ、それはそうなんだが……」
国枝は『二手先三手先は読んでるけど一手先は読んでないから基本的に行き当たりばったりだなぁ』と思ったのだが、よくよく考えればアトムを除くこの世界……は知らないが、日本に限れば『強者』は大体そんな感じだった。
それぞれが持っている力が強すぎて、少し動けば、それらを『恩恵』として処理したらすごいことになるのだ。
決して悪いことではないのだが、このどうしようもないもやもやは一体何なのだろう。
「さて、とりあえずちょっと私は遊びに行ってもいいかな?」
「?」
「金を稼いで来いとばかり言われていて、ダンジョンに潜る以外のことをほとんどしてないんだよ」
「あ、確かに。まあこれくらい集まってるならいいか。ご自由にどうぞ」
生徒会室にフォルノスがいない方が多分回るし。という内心はとりあえず心の中にしまっておくことにした。
……顔には出ていたようだが。
「……国枝」
「?」
「思ってることが顔に出るタイプだな。私は別に構わないが、他の人に対しては気をつけろよ」
「わざとだから大丈夫です」
「国枝は私のことが嫌いなのか?」
「嫌いではない。拍子抜けしただけ」
「……」
戦闘面では強い。
ただし、国枝の視点からすると、実力が測り切れない猛者はたくさんいるのだ。
ただ強いだけならいくらでもいる。
そのため、フォルノスが戦うこと以外に何ができるのかと思ったのだが、ご覧の有様である。
……頑張れ。フォルノス。




