第八百八十三話
生徒会だが、会計である牧人の眉間に筋が刻まれていることを除けば順調に運営されている。
フォルノスがダンジョンに潜って資金を稼いで、国枝が現場で指揮をとる。
前生徒会長の意図を正確に把握できる国枝だからこそ可能なものだ。
システムの構築と実装が就任直後に行われたこともあり、生徒たちの中で『今のような運営』に対して支持が集まっている。
生徒たちの中でも、いろいろと面倒なことに巻き込まれる沖野宮高校の生徒会長はフォルノスのような実力の上限がぶっ壊れている方が良いと考えているものは少なくないのだ。
「……思ったよりクオリティが高いな」
「ああ。たしかに……」
ぐったりしている様子の宗一郎が屋上のベンチで寝転がっており、その隣のベンチで秀星は感心した様子でスマホを見ていた。
新聞部が作った生徒会の現在の様子を確認しているようで、想定よりも軌道に乗るのが早い。
「もともと、国枝自身は次期生徒会長候補として英里が目をかけていたからな。自分である程度鍛えていた部分はあるんだろう。私から見ても現在の生徒会の支持率は高いからな」
「何点くらいだ?」
「そうだな百点満点中、九十に行くかどうかだな」
「高評価だが、その減点の原因は?」
「あの公約を掲げた時点で、金がかかることなど最初からわかっていることだ。それに対応した策が取られていない。牧人は一応、表計算ソフトを生徒会役員の中で誰よりも使える。そんなアイツが仕事に追われているということは、想定はしていてもそれがしっかり活かされていないということになるからな」
「……」
「……なんだ?」
「いや……それが原因で減点した結果九十に行くかどうかと判断したのはわかったが、単純に、宗一郎がプログラムを作るのが面倒だったから嫌な顔をしてるだけじゃね?」
「……否定はしない」
「あっそ」
かなりぐったりしている宗一郎。
どうやら、相当参った様子だ。
とはいえ、宗一郎の言い分も理解できないわけではない。
あらかじめ公約を掲げたのならば、それによって必要なことはすでに決まる。
であれば、その必要なことはすぐに取り組めるように準備するべきである。
正論ではあるが、それは能力が高い者たちの余計なお世話というもので、高校生レベルで求められるようなものではない。
もちろん、それは秀星も宗一郎もわかっている。
「まぁ。宗一郎の内心は置いておくとして……フォルノスが生徒会長になったらどうなるんだろうって思っていたが、どちらかというと生徒会を支えているのは国枝だからうまくいってるな。そもそも、国枝くらいの能力がある人間じゃないと、フォルノスの制御すらままならないだろうし」
「確かに」
「あと、国枝って結構遠慮がないな」
「ああ。生徒会室を通りかかったが、あそこまで正面から神祖に対して文句を言うとは思っていなかった。まあ、別にそれが悪いというわけではないし、結果から見れば必要だったかもしれない」
「……想定外だったのは、私にプログラム作成を頼んできたことだったがな。国枝に技術をみせた記憶はないんだが、どこから嗅ぎ付けたのかいまだにわからん」
「宗一郎の情報の取り扱いも大したことないな」
「秀星は余裕だな」
「国枝が盗める程度の技術なら俺は別に自慢したりしないよ」
「そうか」
宗一郎はぐったりしているが、とりあえず体を起こしてベンチに座りなおした。
「生徒会の仕事。ここからだと一番大きなものってなんだっけ?」
「学校内に関してはそうでもない。あるとすれば学校外だな」
「へぇ……楽しみにしておこうか」




